おかえり、青春 (ページ3)

今日:12 hit、昨日:5 hit、合計:9,120 hit

３ページ3

３

『だって、幽霊なのにわたし見えてるよ？』

「霊感強いんじゃない？」

『そんなわけない』

「じゃー、幻～？」

『ふざけないで！』

少し、強く言ってしまった。

北人も、すこしびっくりしてる。

でもすぐに笑顔に戻った。

「俺に、会いたかったんじゃない？？」

優しい声音、心地よく鼓膜にあたる低い声、
目の前にあるいつもの笑顔

『…そうだよ、

………ずっと

………会いたかったっ！！！』

「うぉ、」

抱きついてしまった。

寂しかった、辛かった、怖かった

北人を亡くしてから、わたしは入学した大学にも行かず
ただ、引きこもった。

北人が死んだ

その事実を受け入れたくなくて
どんどん受け流してしまう周りにはどうしても慣れたくなかった。

「…ひとりにしてごめんね笑」

あの時みたいに、
わたしがここでひとり泣いてた時みたいに、
また抱きしめてくれた。

『……北人の匂い』

「だって北人だもん笑」

『………会えた、北人に』

「そんな嬉しい？笑」

『…うん、』

「珍しいー、Aがそんなこと言うの」

『なにそれ！』

「はは笑いつものAだ笑」

「“Aは笑ってた方がいい”」

忘れたことなんてないその言葉を
本人からまた聞けるなんて
思いもしなかった。

そうだ、言わなきゃ。

ちゃんと伝えなきゃ。

北人が好きだって

いつか言わなきゃ。