なんかおかしい ページ42
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吉野の部屋の前に来て、一呼吸して声をかける。
「吉野、入るよ」
「っ、待って、！」
すぐに返事が返ってきたかと思えば、めちゃくちゃ焦ってる吉野。
……怪しいよ。すごく。
でも私は待てと言われたら待つ女だから。(？)
ちょっと待ってたら、不意にドアが開いた。
目の前にはお世辞にも元気そうとは言えない吉野。
かと言って顔色が悪い訳でもない。
「ごめん、どしたの？」
「ん？吉野最近疲れてそうだなーって思って。入っていい？」
「いいけど、……」
はい。
私は見逃しませんでしたよ、吉野くん。
右手の人差し指に絆創膏が2、3枚貼ってあるのを。
そして、大量の小説に隠された黒い封筒の端を。
いつもは吉野の机の上には小説なんて置かないくせに。
アホだなぁ。
「吉野、指どうしたの？」
「え、？あぁ、本読んでたら切れちゃって」
「……そんな2枚も3枚も絆創膏使うほど？」
「っ、……」
私は柄にもなく吉野に抱きついた。
「っ、Aさ、」
「ごめんね、気づいてあげられなくて」
「……んふ、バレてた」
「バレバレだわ、バカ。……って言いたいところなんだけど」
「ぜーんぜん気づかなかったね」
「でも最近吉野ベタベタしてこないなぁとは思ってたよ」
「そっかぁ、やっぱ変だったか。次はちゃんとしよ」
「次は無いから」
「んふ」
やっぱりストーカーだったらしい。
手口は私の時と同じ。
ちょっと前からあとをつけられていて、ちょっと前からポストに手紙が入っていたらしい。
その手紙は一番最初に見つけたのはやっぱり陸。
なんなの？
あの子は朝のポストパトロール隊なの？
「話してくれてありがと」
「いえいえ、隠してたんで感謝されるような立場じゃないです」
「これ以上なんかされる前に止めないとね……」
「そうですね……」
「「……。」」
「……うん。」
「あ、策はないんですね」
「えへっ」
「Aさん可愛い、今のでもう全部吹き飛んだ」
「は？(笑)」
アホは通常運転に戻ったらしいです。
「なんかあったら絶対言ってね」
「うん」
「一人になっちゃダメだよ」
「うん(笑)」
「いつでも連絡取れるようにするんだよ」
「ふっ、うん(笑)」
「……なに笑ってんの」
「Aさんホントに姉ちゃんみたいで面白い」
「ちょっと意味がわからない」
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作者名：L
| 作成日時：2020年3月27日 21時
