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-Yurino side
マンションに着いて、タクシーを降りる。
Aちゃんは何度か泊まりに来ていたので、彼女の服はまだ残っているはずだ。
中に入ってAちゃんに座ってもらう。
私はキッチンでお湯を沸かし、紅茶を淹れた。
結莉乃「はい。」
A「…ありがとう。」
Aちゃんが紅茶を1口飲む。
結莉乃「…ねぇ、Aちゃん。
さっき電話で言ってた"助けて"ってどういうこと？
宮崎で何があったの？」
そう聞くと、彼女は時々紅茶を飲みながら話し始めた。
急に退院の日を知らされ、私たちに何も言えないまま宮崎に連れて行かれたこと。
私が私たメモは叔父に見つかって捨てられてしまったこと。
連れて行かれたのは相田の家だったこと。
そこで、家事と彼の子供を産むように言われたこと。
相田に無理矢理抱かれたこと。
一昨日の朝、明後日出掛けると言われたので昨日のうちに口座から貯金を引き出しておいたこと。
そして今日、相田の隙を見て逃げ出したこと。
私の番号を覚えていたので空港から電話を掛けたこと。
A「…ごめんね、結莉乃ちゃん。
でも結莉乃ちゃんしか頼れる人いなくて…。」
結莉乃「何言ってんの、全然いいよ！」
A「…ありがとう。」
結莉乃「…ねぇAちゃん。
あの相田って人、好き？」
A「…好きじゃない。」
結莉乃「…そっか。どうして？」
A「…あの人は、違う。」
結莉乃「…違う？」
A「一緒にいたくないの、あの人怖い。」
結莉乃「じゃあ、Aちゃんの好きな人ってどんな人？」
A「…優しくて、ちょっと我儘だけどいざと言うとき頼りになる人。」
結莉乃「…北人くんみたいな？」
A「…そうだね。」
結莉乃「…北人くんに会いたい？」
A「…会いたい。
…記憶を無くす前のことは分からないけど、でもずっと前から北人さんのこと好きだった気がするの。」
…そうだよ、Aちゃん。
Aちゃんと北人くんは恋人だったんだよ。
結莉乃「…じゃあ、会いに行く？」
A「え？」
結莉乃「明後日ね、RAMPAGEが北海道でライブするの。
私は仕事だから行けないけど…。」
そう言ってもらったチケットを机に出す。
結莉乃「良かったら、行ってきて。」
A「…いいの？」
結莉乃「もちろん。」
A「…ありがとう、…行ってくるね。」
結莉乃「気を付けてね。楽しんで。」
A「うん、ありがとう。」
Aちゃんは笑って頷いた。
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作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2019年8月4日 15時
