8 ページ10
-Riku side
俺たちが写真を見た日から、北人は元気が無くて。
陸「…北人、大丈夫?ちゃんと寝れてる?」
北人「大丈夫です。」
そう言って笑う北人は、多分大丈夫じゃない。
陸「…そう?無理しちゃダメだよ。
俺で良かったら、いつでも相談乗るから。」
でも、俺にはそんなことしか言えなくて。
北人「…はい。」
北人も顔に微笑みを貼り付けて頷く。
…どうすればいいんだろう。
北人と二人で歩きながら小さく溜息を吐く。
そのとき、ふと小さなカフェが目に入った。
何故かは分からない。
だけど、そのカフェに入らなければいけないような気がした。
陸「北人、あのカフェ入らない?」
北人「いいですけど…。」
小さく首を傾げる北人と共にカフェに向かう。
飴色の木で作られたドアを開けると、取り付けてあるカウベルが鳴った。
店員「いらっしゃいませ。」
綺麗な黒髪の女性がテーブルに水を置きながら言う。
こちらからその顔は見えない。
しかし、その声を聞いた北人は、俺の隣で息を呑んで身体を強ばらせた。
陸「…北人?どうした?」
北人「…A。」
震える声で北人が言う。
陸「…え。」
それって、北人の元カノじゃ…。
女性が顔を上げた。
A「…北ちゃん…?」
北人「Aっ!」
北人が駆け寄る。
北人「…元気だった?…髪、伸びたね。」
A「…うん、北ちゃんも。」
…どういうこと?
待って、全然ついていけない。
北人「…あ、A。
この人、RAMPAGEのボーカルの陸さん。」
陸「はじめまして、陸です。」
A「吉野Aです。」
陸「えっ、名字吉野なの?北人と一緒?」
北人「はい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-Hokuto side
陸さんと仕事帰りに寄ったカフェ。
顔は見えなかったけど、声で分かった。
この声を僕が聞き間違えるはずがない。
A「…北ちゃん…?」
北人「Aっ!」
思わず駆け寄る。
ついてこれていない陸さんをAに紹介して僕たちはAに席に案内してもらった。
北人「陸さん、ありがとうございます。」
陸「へ?あ、うん。
…それにしても、すごい偶然だね。」
北人「ですね。」
彼と話しながらずっとAを目で追う。
北人「…陸さん。」
陸「んー?」
北人「この後、先に帰ってもらえますか?」
陸「分かった。」
北人「ありがとうございます。」
陸さんは微笑んで頷いた。
260人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:直実 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時:2019年4月28日 17時