運命のヒト―With you,Again― (ページ6)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:76,404 hit

4 ページ6

-You side

A「あ、この写真…。」

アルバムをめくっていた私は、一枚の写真を見て手を止めた。

私の最初で最後の彼氏の北ちゃん。

そして、私の初恋の人。

付き合い始めたときは、彼のことが好きじゃなかった。

だけど、付き合ってしばらくすると、彼の誰にでも平等に接するところや優しさ、誠実さに惹かれて行った。

A「…北ちゃん、元気かなぁ。」

別れてから4年。

彼がTHE RAMPAGEというグループのボーカルとしてデビューしたことは知っている。

でも、それだけだ。

極力彼を見ないようにしてきた。

…見たら、会いたくなっちゃうから。

東京の大学に進学したのは、せめてもの未練。

…会える訳、ないのに。

私の両親は私に暴力を振るっていて、私が中学に入って直ぐに事故で死んだ。

それから、私は宮崎に住む叔父夫婦に引き取られたが、その家に馴染めなかった。

明らかに邪魔者扱いされ、家にも学校にも居場所が無かった。

そんな私に、居場所をくれたのは北ちゃんだった。

彼が初めて、私を必要としてくれた。

初めて手を繋いだときも、初めてデートした場所も、全部覚えてる。

…まだ連絡先を消していないのも、未練なのかな。

ねぇ、北ちゃん。

北ちゃんは昔、私に言ったよね。

"一度でいいから、僕のこと信じて"って。

私、北ちゃんを信じてよかったって思うよ。

北ちゃんの彼女になれて、本当によかった。

春には一緒に桜を見て、夏になれば宮崎の海に行って、秋は私の部屋で寄り添いながらゆっくりして、冬は手を繋ぎながら二人で帰った。

帰りたくない、って言う私を、家に泊まらせてくれた。

一緒に星空を見上げてくれた。

あの頃、私の隣にはいつも北ちゃんがいた。

キスだって、別れるときに初めてしたくらいだけど、あのとき私は確かに幸せだった。

その幸せをぶち壊したのは私だ。

でも、あのときはああするしかなかった。

北ちゃんには、私のことなんて気にせずに夢を追いかけて欲しかった。

…だから、私は別れることを選んだ。

思い出にしようと思っても出来ない。

あれから何人かに告白された。

だけど、その度北ちゃんがちらついて。

…過去になんて、出来ないよ…。

…北ちゃん。

北ちゃんは、まだ私のことを好きでいてくれたりするのかな？