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-You side

北人「僕、待ってるから。」



北人さんが笑って言う。

その笑顔を見て、胸が痛んだ。

…どうして?

どうして、こんな気持ちになるの?

私には、婚約者がいるのに。

なのに、どうして北人さんに頭を撫でられると懐かしい気持ちになるの。

どうして、彼の笑顔を見るとこんなにも胸が痛いの?

…分かんないよ。

私は、何を忘れてるの?

なにか、とても大事なことを忘れている気がする。

だけど、それが何かを思い出せない。



A「…っ。」

北人「…A?どうしたの?」



頭が、痛い。



A「北、人さ…っ。」

北人「A!?」



北人さんがナースコールを押す。

すぐに先生が入ってきた。



医者「どうしました?吉野さん!?」

A「頭、痛い…っ!」

医者「すぐに鎮痛剤入れますね。」



北人さんが私の手を握ってくれる。



北人「大丈夫。A、大丈夫だからね。」



薬が効いてきたのか、痛みが和らいでくる。



医者「…何があったんですか?」



優しく先生に聞かれて、私は答えた。



A「…思い出さなきゃって、思って…。」

医者「そうですか。
確かに、焦る気持ちはとてもよく分かります。
だけど、無理は禁物です。
ゆっくり思い出していきましょう。」

A「…はい。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





北人さんが帰ったあと、結莉乃ちゃんが来てくれた。



結莉乃「調子どう?」

A「記憶が無いこと以外はいいよ。」

結莉乃「そっかぁ。あ、そうだ、これ。」



彼女がバッグから出したのは、通帳と印鑑。



結莉乃「これ、Aちゃんの。」

A「え…、どうして…?」

結莉乃「ほく…、あーっと、実はさ、一緒に住んでたんだよね、Aちゃんと私。」

A「そうだったんだ。」



通帳と印鑑を受け取る。



結莉乃「それからこれ、私の連絡先。」



小さなメモには、11桁の数字が書かれていた。



A「ありがとう。」

結莉乃「うん。」



と、ドアが開いて相田が入ってきた。

咄嗟に彼女から受け取ったものを布団の下に隠す。



結莉乃「どちら様ですか?」

雄也「Aの婚約者だけど。
あんたの方こそ誰。」

結莉乃「Aの友達です。」



相田は結莉乃ちゃんを無視して私に言った。



雄也「おい、A。」

A「…はい。」

雄也「もうすぐ退院だそうだ。
退院したら、できるだけ早く式を挙げるぞ。」

A「…はい。」

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設定タグ:吉野北人 , THERAMPAGE , YURINO   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:直実 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu  
作成日時:2019年4月28日 17時

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