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-Hokuto side

翌日、事件はニュースになっていて。

事務所に行くと、みんなにAの容態を聞かれた。



樹「…北人さん、大丈夫ですか?」

北人「いっちゃん…。」



いっちゃんが僕の隣に腰を下ろす。



樹「…1人で溜め込まずに、ちゃんと俺たちに相談してくださいね。」

北人「…うん、ありがとう。」



その日から、僕は毎日Aの病室に足を運んだ。

たまにメンバーも来てくれる。

しかし、1週間が過ぎ、2週間が過ぎてもAが目を覚ますことは無かった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





北人「お疲れさまです。」

力矢「お疲れー。」

樹「お疲れさまです。」



メンバーの口々に言う声を背中に受けながら、今日も病院へ行く。

ベッドの横の椅子に座って、僕はAの手を握った。

まだ目を覚まさない彼女に語りかける。



北人「今日、ライブのリハーサルだったんだ。
初めてのアリーナツアーだから、みんな気合い入ってるよ。
…Aにも見に来て欲しいなぁ。」



ひとしきり喋って、Aの頬を撫でる。



北人「…A。明日、誕生日だね。」



…5年ぶりに、一緒に祝えると思ってた。



北人「A…っ。」



…お願いだから。



北人「お願いだから、目、覚ましてよ…っ!」



神様は残酷だ。

やっとAが僕の元に戻って来てくれたと思ったのに。

薄暗い病室で、1人涙を流す。

不意にノックの音が響いて、ドアが開いた。

顔を出したのは看護師さん。



看護師「面会時間、過ぎてますよ。」

北人「えっ!?あ、すみません!」



荷物を持って、Aの額にキスする。



北人「…また来るね。」



僕は部屋を出るときに看護師さんに軽く会釈して病院を後にした。

もうすぐ日付が変わる。

…せめて、12時は一緒に迎えたかったなぁ。

家に帰って僕はソファに座った。

Aのお気に入りだったクッションを抱き締める。

そして、Aが目を覚まさないまま、僕は22回目の誕生日を迎えた。

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設定タグ:吉野北人 , THERAMPAGE , YURINO   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:直実 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu  
作成日時:2019年4月28日 17時

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