27 ページ29
-You side
二人と別れて、一つの部屋の前で北ちゃんが足を止めた。
北人「…緊張するなぁ。」
A「大丈夫だ。」
北人「…うん。よし、行こう。」
北ちゃんはドアを開け放って叫んだ。
北人「ただいま帰りましたっ!」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、爆発的な歓声が沸き起こった。
陸「おかえり!」
昂秀「声出るようになったんすね!」
北人「うん!」
笑顔で頷く北ちゃん。
みんなの興奮が少し静まった頃、北ちゃんは言った。
北人「…実はみんなに紹介したい人がいて。」
力矢「え、なに?彼女?」
北人「はい。」
北ちゃんが頷いて私を手招きする。
私は小さく頭を下げて中に入った。
A「初めまして、吉野Aです。」
健太「えっ、あの写真の子!?」
北人「そうです。」
…写真?
なんだそれ。
…それより。
私は深く頭を下げた。
A「この度は私のせいで皆様にご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ありません!」
北人「ちょっ、A!?なにしてんの!?」
A「だって、北ちゃんの声が出なくなったの、私のせいでしょ?」
北人「気にしなくていいって!
ほら、今は声も戻ったし!」
陣「せやで!
終わりよければすべてよしって言うやん?」
他の人たちも頷く。
A「…ありがとうございます。」
北ちゃんに抱きつかれた。
A「どうしたの?」
北人「…Aと出会えてよかったなって。」
力矢「家でやれ。」
北人「はーい。」
みんなが笑う。
と、恐ろしく顔が整った男性に手を取られた。
慎「北人さんなんかやめて、俺にしません?」
北人「ちょっとまこっちゃん、僕のAなんだけど!
ていうか、なんかってなに!?
誰にも渡す気なんかないし!」
ちぇー、と私の手を離す慎くん。
胸がくすぐったくなった。
微笑んで北ちゃんを見上げる。
目が合うと、彼も笑ってくれた。
260人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:直実 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時:2019年4月28日 17時