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-Hokuto side
僕が声を失ってから1ヶ月。
声が戻る気配はなく、メンバーのみんなには迷惑を掛けてばかりいた。
そんなとき、HIROさんに呼び出された。
HIRO「しばらく来なくていいよ。」
え…。
"僕、クビですか?"
すると、HIROさんは笑いだした。
HIRO「違う違う、北人をクビにするつもりなんてないよ。
しばらく休みが必要なんじゃないかと思ってさ。」
HIROさんに渡されたのは、飛行機のチケット。
HIRO「ゆっくりしておいで。」
"ありがとうございます。"
廊下に出てチケットを見ると、それは宮崎行きの飛行機のチケットだった。
…しばらく帰ろうかな。
お母さんにしばらく帰る、と連絡をする。
声が出なくなった、と言うと、お母さんはとても心配してくれた。
大丈夫、と返信する。
僕は帰省するために荷物をまとめた。
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宮崎の空港に着いたのは午後7時。
お母さんが迎えに来てくれていた。
母親「おかえり、北人。」
"ただいま。"
お母さんの運転する車に乗り込む。
家までの道のりで、お母さんが言った。
母親「何かあった?」
小さく首を振る。
母親「…そう。」
これ以上、心配を掛けたくなくて。
僕は、嘘をついた。
僕の部屋は、僕が上京した4年前のままで。
…よくAに勉強教えてもらったなぁ。
テスト前はほとんど毎日のように教えてもらっていた。
…この部屋、思い出が多すぎる。
忘れなきゃ、Aのことは全部。
…もう、終わったんだ。
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作者名:直実 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時:2019年4月28日 17時