運命のヒト―With you,Again― (ページ23)

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-Hokuto side

病院を出て、事務所へ向かう。

途中、タクシーの中で陣さんが言った。

陣「北人はもっと俺らのこと頼り？
北人は一人じゃないんやから。」

申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

僕は陸さんのようにあんな高い、綺麗な声で歌えない。

壱馬みたいにラップが出来るわけでもRAMPAGEの黒い部分を表現出来るわけでもない。

僕の取り柄って、なんなんだろう？

…僕がこのグループにいる意味なんて、あるのかな。

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事務所に着いて、僕たちはHIROさんの所へ向かった。

陣「失礼します。
RAMPAGEの陣と吉野北人です。」

僕の代わりに陣さんが言ってくれる。

中に入って、勧められたソファに座った。

HIRO「…どうだった？」

陣「心因性のものらしいです。
本人に心当たりは無いみたいなんですけど。」

HIRO「そうなのか？」

HIROさんの目を見れずに、俯いて頷く。

HIRO「このこと、メンバーは知ってるのか？」

陣「壱馬が伝えました。」

陣さんの言葉にHIROさんが頷く。

HIRO「分かった。
…陣、少し席を外してもらってもいいか？」

陣「あ、はい。」

HIRO「ありがとう、先にメンバーの所に行っておいてもらえるか？」

陣「分かりました。」

陣さんが頭を下げて部屋を出て行く。

HIRO「…声が出なくなったのは今朝から？」

"はい。
昨日まではなんとも無かったんですけど…。"

HIRO「…昨日、何かあった？」

HIROさんに言うべきかどうか、僕は迷った。

その迷いを見透かしたようにHIROさんが言う。

HIRO「…あったんだね。」

僕は小さく頷いて、これまでの自分とAの話をした。

中一のときの出会い。

彼女に惹かれて行ったこと。

何度も告白して、受け入れてもらえたこと。

4年前に別れたこと。

そして、この間偶然再会したこと。

それから一昨日の夜、僕とAの間に起こった変化。

昨日、朝起きるとAがいなくて彼女が働いているカフェに行くと一通の手紙を渡されたこと。

夜、それを読んだこと。

HIRO「…それが原因だと思う？」

"はい。すみません、僕…。"

HIRO「謝る必要は無いよ。
好きって気持ちは、人に言われて変えられるものじゃないしね。」

唇を噛んで俯く。

HIRO「焦らなくていいから、ゆっくり治していこう。
彼女のこと、無理に忘れようとしなくていいからね。」

"はい。ありがとうございます。"

僕は心の底から彼に頭を下げた。