禁句 ページ7
.
『駅の東口出たところにいるよ』
北斗くんからのメッセージが表示されたスマホを
胸にぎゅっと握り締めて
改札を抜けて
駅を出ると、小雨が降っていた。
朝から、雨が降るって朝のニュースで言っていたけれど、今降り始めたか。
雨は嫌いじゃない。
高校のとき、雨の放課後が好きだったから。
晴れた日の騒がしい放課後も良いけれど
湿った空気で満たされた国語準備室で
北斗くんと過ごす静かな時間が大好きだった。
北斗くんの車にそっと駆け寄って助手席の窓から覗くと、北斗くんがハンドルに手をかけて外を眺めていた。
ぼーっと、ゆっくりまばたきする横顔が綺麗で
スマホでこっそり写真を撮った。
コンコン、と軽く窓をノックすると
振り返った北斗くんが目を丸くして、
「乗って」と口を動かした。
「雨、降りはじめたね」
「ですね」
2人を乗せた車が、ゆっくりと動きはじめる。
「和食、イタリアン、中華だったらどの気分？」
「えっ、、中華」
「お！いいねえ」
くふふ、と歯を見せて子どもみたいに笑った。
「俺もねー、中華の気分だったんだー」
心底楽しそうに言うから、
私もつられて笑ってしまう。
「楽しそう、北斗くん」
「ええ？そりゃ楽しいよ、デートだもん」
"当たりまえでしょ？"そんなふうに言うから
嬉しくて大好きが溢れた。
「北斗くん、」
「ん？」
「好きです」
「…ねえ今言わないでよ」
「えっ…すみません」
「想像してごらんよ？彼女乗せて運転してさ、こちとら必死なのに、そんなときに"好き"なんて言われたらどうよ」
「……」
「今すぐ抱きしめたいけど、Aもお腹空いてるだろうからとりあえずお店向かうから」
鼓動が加速するのがわかった。
頬が熱い。
どうして北斗くんはこんなにかっこいいんだろう。
北斗くんが好きで好きで、どうしようもない。
だからこそ、不安なんだ。
頑張らなきゃ、そう思うほど、追いつけなくて悲しくなる。
お店に着いて、シートベルトを外すと
途端に、力強い腕にきゅっと包まれた。
「…北斗くん、」
「めっちゃ好き」
温かい、大きな手のひらが
わたしの背中にじんわりとあてられて
不安が溶かされていく。
「……行こっか」
"ちょっと待ってて"と1人車を降りて
わざわざ回ってきてドアを開けてくれて
おまけに傘まで差してくれた。
「わ…ありがとうございます」
「いいえ？」
.
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リカ(プロフ) - 更新楽しみにしています (5月18日 0時) (
レス) id: 88810842d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 続きが気になります！更新待っています。 (2022年5月14日 4時) (レス) @page7 id: aef5fa864f (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 最高です！！！ (2022年5月1日 21時) (レス) @page7 id: 34004b60ef (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます！よろしければまたお付き合いおねがいします。 (2022年4月26日 18時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - aaさん» 素敵なお言葉ありがとうございます！また楽しんでいただけたら嬉しいです (2022年4月26日 18時) (レス) @page7 id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2022年4月18日 3時
