恋心 (10/3) ページ9
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窓の外、流れる景色を見ながら
北斗くんの部屋を思い出す。
あの日以来だ。
あの日の、あの時の自分を思い出すと
恥ずかしくて、居心地が悪い。
思い出したくないのに、
忘れようと思えば思うほど
自分の嫌な部分を自覚してしまう。
わたしってこんなに弱い人間だったっけ。
恋って、人を強くも弱くもするんだ、きっと。
バニラか、チョコか。
途中で寄ったコンビニで、アイスを迷っていると
「どっちも買っちゃいな？今度来るとき食べたらいいじゃん」と後ろから声をかけられた。
"今度"
「あー、そうだ、じゃあこの２つ半分こして食べよ」
"それでいい？"
振り返った北斗くんが、くいっと口角を上げてわたしを見る。
「あっ……うん」
「よっしゃきまり、」
わたしの迷っていたアイスをどちらもカゴに入れてレジに向かうから、払いますよ、と言えば
「いいから。大人しく奢られといて。てか、奢らせてよ」
"ね？"と優しい顔で言われたら
頷くしかできなくなる。
「…そのかわり、あとでお願い聞いてね」
コンビニを出る瞬間、北斗くんがそっと呟いた。
「あっ、はい」
大きな背中に着いていくとき、
大人みたいだな、って思う。
高校生の頃は、背中を追いかけて
今は「着いていく」の表現の方が合う気がする。
だって、ほら。
こうしてたまにちゃんと着いてきてるか
振り返って確かめてくれる北斗くんがここにいる。
中華料理屋を出るときにも、わたしも払う、と言えば
「その代わりにお願い聞いてよ」と言われた。
お願い、ってなんだろう。
今まで北斗くんからされた頼みごとといえば。
明日の連絡みんなに伝えといて、とか
課題集めて持ってきて、とか。
「……A？」
「…………っはい！」
「ねむい？」
「いや、全然、眠くないです、すごく元気です」
ふ、と息が抜けたように笑って
「着いたよ、っと」と車を停めた。
あ、着いたんだ。
考えすぎて、何も心構えができないまま北斗くんの部屋。
ぐるぐる、ずっと頭の中で考えていたら
いつのまにか北斗くんの部屋。
もうどうにでもなれ、
なるようになる。きっと。
だって、
昨日の夜、北斗くんに触れられるかもしれないところに
大好きなボディクリームをそっと仕込んできたんだもん。
大丈夫。
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リカ(プロフ) - 更新楽しみにしています (5月18日 0時) (
レス) id: 88810842d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 続きが気になります！更新待っています。 (2022年5月14日 4時) (レス) @page7 id: aef5fa864f (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 最高です！！！ (2022年5月1日 21時) (レス) @page7 id: 34004b60ef (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます！よろしければまたお付き合いおねがいします。 (2022年4月26日 18時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - aaさん» 素敵なお言葉ありがとうございます！また楽しんでいただけたら嬉しいです (2022年4月26日 18時) (レス) @page7 id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2022年4月18日 3時
