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「勝手に動いてごめんなさい…声かけられたって言うべきだった」
「別にいいけどよ…怪我ねぇな？」
柳は子供に聞くように言って、Aのブレザーの泥をはらった。
こんなに喧嘩も強く可憐なのに、相変わらず鈴蘭みたいないい匂いがする。
「勿論」
Aはピースサインで答える。
「そうか」
大嶽はAの頭を雑に撫でると、開久のツッパリ達を軽々と投げ飛ばす。
一発のパンチでフェンスごとなぎ倒した。
柳も次々と攻撃をしかけ、こちらもあっという間に地面に沈めた。
開久の連中は意外にもあっさりと敗れたのである。
「おいおい！どうして大人しくしてやってたのに、わざわざそっちから仕掛けてきたのかな？ん？」
大嶽が面倒臭そうに言った。
Aは、さすがの大嶽だ、と思う。
彼の喧嘩はいつ見ても豪快でほれぼれすると、そう思っていた。
「それも、Aに仕掛けるとはいい度胸してんじゃねえか」
吠える大嶽に、足元で負け犬の強がる声が聞こえる。
「ここにはな、俺らクラスの奴がうじゃうじゃいるんだよ。俺ら倒しただけで調子乗んなよ」
「お前らみてぇな有象無象、何人かかってきても一緒だよ」
柳が、はき捨てた。
「…さて、開久高校の皆さん。うちのAが強いのもよーく分かったと思います。そして…ここからは大事な商談だ」
大嶽が手をならし、テンポ良く話題を変えた。
それを合図に、北根壊の手下達が大きな段ボールを運んでくる。
Aが勢いよくそれを開け、中身を一つ、柳が取り上げた。
「はい、このキーホルダー。これをつけてると悪者に絡まれないという、不思議なアイテム」
それはピンポン玉にキーチェーンを付けただけの安っぽいものだった。
プリントされたロゴは「Love &peace」。
「五千円ね」
瀕死状態の負け犬達に笑顔で配る柳に、
負け犬の一人が声を上げて反論した。
「アホくせえ！こんなもん誰が買うかよ！」
だが次の瞬間、そいつの頭を大嶽が思い切りけり飛ばす。
「買わなくてもいいけど、ずっとこういう目に合い続けるっていう仕組み。どうよ？」
柳は不気味に笑った。
これは、北根壊伝統の行事である。
元は柳が資金集めとして始めたのがきっかけで、たまにこの資金でサテンへ行ったり、柳や大嶽がAにプレゼントを買うので、Aも文句を言うつもりは当然無かった。
結局この世の中、弱者が強者に従うようになっている。
それだけの話である。
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ひんやりだんご(プロフ) - さ??♀?さん» ありがとうございます！これからも宜しくお願いします！ (2022年3月27日 20時) (
レス) id: c7dc0d49c1 (このIDを非表示/違反報告)
ひんやりだんご(プロフ) - 子猫さん» 応援ありがとうございます( ´ ▽ ` )検討させていただきますね！ (2022年3月27日 20時) (レス) id: c7dc0d49c1 (このIDを非表示/違反報告)
さ??♀?(プロフ) - 最高です！ (2021年5月23日 2時) (レス) id: 74c8bfbc36 (このIDを非表示/違反報告)
子猫 - 凄く面白くて一気に読んでしまいました！北根の小説全然ないから嬉しいです！ひんやりだんごさんさえ良ければ理子ちゃんと夢主が戦うのも凄く見てみたいです！ひんやりだんごさんさえ良ければ書いてください！ (2021年2月1日 3時) (レス) id: 54bec7b90e (このIDを非表示/違反報告)
ひんやりだんご - Luaさん» 楽しんでいただけて良かったです！これからも応援宜しくお願いします！ (2020年9月20日 15時) (レス) id: 6187d0d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひんやりだんご | 作成日時：2020年7月23日 17時
