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「不意打ちクラーッシュ!!!」


突然の天の声。

ナイフを振りかぶった柳を目掛けて、飛びげりを見舞おうと降りてきた黒い影は、
最強の男、三橋だった。

すんでのところで柳がそれをかわす。
この土壇場で、さすがの瞬発力だ。

「三ちゃん!」

理子は歓喜の声をあげる。



「三橋…」

Aの顔が引きつった。
この展開…さすがにまずいんじゃ?



「さあさあさあさあ、ナイフを持ってりゃ無敵だと思っている君!正々堂々、私と勝負したまえ!」

「三橋!てめえ余計なことすんじゃねえ」

血だらけの相良が叫んだ。

「今井も伊藤も理子もやられた。こいつは俺がやる!」

そう言い返す三橋に、遠くで誰かが叫んだ。



「やられてねーわ」

伊藤である。
彼はひきずってきた物から手を離す。
土埃が舞い上がるそこには、完全にやられた大嶽がいた。

「大嶽…」
「重…」

柳とAは動揺を顔に出した。
嫌な予感が当たったのだ。

いよいよ本当にまずい。

智司が人をかきわけて三橋に近づく。

「三橋、何か策はあるのか」


そう言われて彼がポケットから取り出したものは…

「ラケット…」

Aが確認するように呟く。

そう、紛れもなく卓球のラケットだった。

「ふざけやがって!本気で殺してやる」
「そんなもん使わにゃ喧嘩もできねえタコが、この俺を殺そうなんて一万年早えんだよ」

三橋はもうナイフに怯まない。
柳は焦る。

「ほざいてんじゃねえ!」

ナイフが三橋の顔面に向かって放たれた。

しかし、彼は持っているラケットでその全てを受け止める。



「そ、そんな馬鹿な…。そんなわけねえ!」

柳はさらに焦る。

「今ので7本…」

Aはしまった、と苦虫を噛み潰したような顔をした。
柳の所持しているナイフは8本だ。

つまりは次が最後の1本なのである。

三橋は柳とAにかすかな不安がよぎったのを見逃さなかった。

最後の1本を柳が投げる。

「馬鹿!!!」


Aの悲鳴が響く。
今最後の1本を投げるタイミングではないことは誰だって分かる。
柳は完全に冷静さを失っていた。

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ひんやりだんご(プロフ) - さ??♀?さん» ありがとうございます!これからも宜しくお願いします! (2022年3月27日 20時) (レス) id: c7dc0d49c1 (このIDを非表示/違反報告)
ひんやりだんご(プロフ) - 子猫さん» 応援ありがとうございます( ´ ▽ ` )検討させていただきますね! (2022年3月27日 20時) (レス) id: c7dc0d49c1 (このIDを非表示/違反報告)
さ??♀?(プロフ) - 最高です! (2021年5月23日 2時) (レス) id: 74c8bfbc36 (このIDを非表示/違反報告)
子猫 - 凄く面白くて一気に読んでしまいました!北根の小説全然ないから嬉しいです!ひんやりだんごさんさえ良ければ理子ちゃんと夢主が戦うのも凄く見てみたいです!ひんやりだんごさんさえ良ければ書いてください! (2021年2月1日 3時) (レス) id: 54bec7b90e (このIDを非表示/違反報告)
ひんやりだんご - Luaさん» 楽しんでいただけて良かったです!これからも応援宜しくお願いします! (2020年9月20日 15時) (レス) id: 6187d0d719 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひんやりだんご | 作成日時:2020年7月23日 17時

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