ねこといぬの恋の話 (ページ32)

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、

しかし、仕事人間

と言うのは語弊がある。

私だって別に

仕事をいつでも優先しているわけではないのだ。

ただ、社内に私情を持ち込むと

迷惑をかける可能性があるだろうな

と思う、それだけのこと。

「…じゃあ、俺との社内恋愛はあり？」

以前なら間違いなく

"なし"

と答えていたであろう私が

言葉を探している様子を見かねた彼は

また悲しそうな顔をして

「…なしか」

と呟く。

『ちが！あ、いやその』

「ん？」

『アリかナシかわかんないけど、
松村くんといるのは嫌じゃない』

ねえ、なんでそんな口角を上げて笑ってるの？

まるで私がこう答えるのがわかっていて
わざと悲しげに呟いたかのように

彼はどこか得意げな顔をしている。

「好きだよ、A」

甘い雰囲気にのまれそうな自分がいて

『す、きなわけじゃないからね』

自分に言い聞かせるように松村くんに伝えるも

「うん、了解」

彼は依然として得意げな笑顔を浮かべたままであった。