先輩 .。 (ページ14)

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慎太郎 s i d e ページ14

そして、おれは休み時間になったと同時に
北斗と樹のクラスへ向かった。

行くと、2人は楽しそうに話していた。

北「あ、慎太郎。」

樹「慎ちゃーん！」

と言いながら、2人が駆け寄ってくる。

樹「どしたの、慎ちゃん？
何かやなこと、あった？」

慎「いやっ..そうじゃないんだけどさ..」

樹「どうしちゃったんだよー？」

慎「帰り..一緒に帰れる？」

北「分かった。」

慎「さんきゅ。」

こういう時、北斗の勘の良さには本当に助けられる。
おれの顔を見るなり、北斗は軽く頷いて返事をしてくれたから、用件を言わずに済んだ。

そして、クラスに戻ろうとした時、
あの子を見つけた。

貴「あ..」

慎「あ..」

言葉に詰まった。
いつものおれなら、"姫宮さん！"なんて行けそうなのに今日というか、この子に限って行けない。

樹「なぁに、慎ちゃん。
知り合い？」

貴「朝、満員電車で助けていただいて、
少しお話させていただきました。」

樹「そーなんだ！
じゃあ、慎ちゃんの友達みたいなもんっ
てわけだね。」

慎「お、おう..」

北「よろしく。
名前、なんて言うの？」

貴「姫宮(人1)です。」

北「クラスは？」

貴「1年A2組です。」

北「君が噂の"お姫様"ね。」

貴「は？」

慎「何だよ、それ？」

北「俺たちのクラスで、結構有名なんです
よ？
名前に負けない美しさをお持ちとか。」

樹「そーそ！
みんな、一目見ようとクラス探ってんだ
けどさー。
全然見つかんなくて！」

北「まさか、慎太郎が友達だなんてな。」

貴「はぁ..そうなんですか..」

慎「確かにおれのクラスでも、1年の可愛い
子、探ってたわ。」

樹「じゃー、学校の有名人ってわけだ！」

北「確かに名前に負けない美しさだね。」

樹「もし良ければ、友達になってくれる？」

貴「別に..良いですよ。」

北「なら俺も。」

貴「お2人の名前、教えてください。」

樹「田中樹でーす！
黙ってれば、爽やかイケメンって
よく言われまーす笑」

北「松村北斗。3A6。
慎太郎と樹の友達です。」

何か嫌だった。
おれだけが友達だったのに、北斗と樹まで姫宮さんと友達になってしまった。
それに、会話にも入れなくてつまんなかった。
せっかく姫宮さんと話せるチャンスだったのに。

この時、おれは自分の性格を恨んだ。