ジョングク栽培キット【JK】

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30も半ばのいい歳こいた大男が、簡単に涙を見せるんじゃあないよ。

そもそもなんで泣いてるの？冷蔵庫の角に足の小指でもぶつけた？





「お土産にスイーツたくさん買ってくるから怒らないで……オッパのこと嫌いにならないで……、おねがひィン」

「ん、なんの話？」

「愛してるよ、𝑀𝑦 𝑆𝑤𝑒𝑒𝑡 𝑃𝑟𝑖𝑛𝑐𝑒𝑠𝑠♡って話」

「おっ、今朝はホットサンドか！いただきまぁーす」





私の実の兄、10歲以上年の離れたジンオッパは、自他共に認める、超のつく究極ウルトラハイパー鬼MAXな重度のシスコンだ。

仮にシスコン度合いを争う大会があったとしたら、間違いなくトップスリーには入れるだろってくらいの。





「今日も僕の妹が世界一」





ここで、シスコンが故に起こった事故をひとつ。

この前親戚の集まりがあった時、オッパと合いそうな女性がいるんだ、ってどことなくお見合いを促してくるオジさんの胸ぐら掴んでぐわんぐわん揺さぶって、

“僕にはAがいるからいいんだよ！！余計な口出ししないでくれ、この牛乳雑巾加齢臭バーコードハゲ！！”

って、酔った勢いで大粗相。

正気に戻った後の渾身の土下座を思い出すだけでニヤける。

これからも集まる度に茶化され続けるんだろうなぁ。





ご覧の通り休日は予定があってもわざわざご飯を作りに来たり持って来たり、通い妻ならぬ通い兄状態だし、来れない日が続きそうなになるとしっかり作り置き。

私がバイトの時はできる限り自分の車で送迎、難しい時は勝手にハイヤーまで手配する始末。

バイト先までチャリで数分だよ？必要ないからいつもこっそりキャンセルしてチャリってる。

マジでどうかしてるわぁ。





過保護通り過ぎてもはやストーカーの域じゃん。

もちろん感謝してるし尊敬できる部分もいっぱいある。

でもさぁぁぁぁ、色々してもらっている立場で言うのもなんだけど、正直…………、





「ほっぺにパンくず付いてるぞ♡取ってあげる♡♡」





────ｶｼｬｶｼｬｶｼｬｶｼｬｶｼｬｯ！！！





「はぁ〜ん咀嚼する顎の動きまでかんわいぃぃ罪なレディ〜♡♡」





────ｶｼｬｶｼｬｶｼｬｶｼｬｶｼｬｯ！！！





「よしっ。365日Aメモリアル、本日分も無事激写完了っと」





重い病気だと思う。


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