ジョングク栽培キット【JK】

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本音を言うと、Aチャンがピクチンを飼い始めるのには反対だった。

だって俺の立場が霞むし、ただでさえ軽くあしらわれてるっていうのに、他に可愛がる存在ができたら見向きもされなくなっちゃうでしょ。

そんなの…………、やだもん。





それに、周りに自分より幼い存在がいないから、どう接したらいいのか分かんない。

見てたらそれなりに可愛いとは思うけど、みんなみたいにニコニコデレデレはできない。

きっとこいつも、雰囲気とオーラでなんとなくそれを察してる。

だから“怖い嫌だ”って言ったんだと思う。





今更あーだこーだ言ったって、生まれてきたのなら共存するしかない。

この状況で俺がポイントを稼ぐには、彼女のお願いを快く引き受けること。

ピクチンにとってお留守番は生活の基本のキ、頼られたからにはしっかりと教え込み、ベビーシッターの仕事を全うしないと。





と、いうことで。





「俺のことはジミニヒョンと呼べ。人間の世界では目上の男にヒョンって付けるのが常識なんだ。分かったな？」





何事も始まりが肝心。

スタートする前に、まずは上下関係を植え付ける必要がある。





「あぇ？なぁにぃ〜？？」





ぽやぽや目を擦るチビを床に座らせ、レンズのない伊達眼鏡をクイッと上げてみせた。





「リピートアフターミー。ジミニヒョン」

「みりに、よん？」

「はい全然だめ。最初の一文字目から言えてない。もう一度〜、ジミニヒョン」

「みにによん」





「…………Aチャン」

「Aちゃん、あぃたぁーい！」

「ジミニヒョン」

「いも」





おいおいどうしてだ。

喋り方はたどたどしくてもさっきまでは普通に話せてたじゃん、ジミニヒョン以外は言えてるじゃん。

てか、芋って言ったよな今。





「ジ」

「じぃー！」

「ミ」

「みぃー！」

「ニ」

「にぃー！」

「ヒョン」

「ひぉん！」





「よしきたジミニヒョン」

「なんか あきたー。おそと いきたーい」





落ち着け俺。

穏やかに、穏やかに……。


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