今日もこの森の中で【ALL】 (ページ44)

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ドアから半分顔を出して一応聞いてはみたけど案の定な返答

お盆に温めすぎて湯気モクモクのたまご粥たちを乗せて寝室まで運ぶ

“ 熱いから気をつけてね ”と差し出すも起き上がるだけで布団から手を出しもせず、ただお粥を見つめるだけ

「食べないの？」

『食べる。……俺、病人だから』

「知ってるけど」

『あと猫舌』

「それは知らんけど」

そこでラリーは途切れ、彼は何も発さず口をパクパクさせて見せる

これは食べさせろってこと？

………………なんかウケる

スプーンで掬って口の前まで運んであげても、口は閉ざしたまま

“ あと猫舌 ”

さっきの言葉の意味を理解し目玉を回す

フーフー息を吹きかけて冷ましてから再び差し出すと、やっと口を開けてパクリと食いついた

「おいしい？」

『ん』

食欲はあったみたいで残すことなくペロリと完食する

薬は頑なに嫌がるからゼリーでコーティングして無理やり放り込んでやった

子どもか

新しいマスクを渡し、もしもの時のために重ねた袋とタオルも用意した

「よしっ、出来ることはやった！あとは寝るだけ！」

『…………ねる』

「それじゃ私は帰るから、何かあったらすぐ連絡してね。気付けるようにしておくから」

そう言い残し部屋を出て玄関で靴の紐を結んでいると、カトクの通知音が鳴る

まさかオッパではないと思うけど一応すぐ確認

“ スポドリなくなった ”

いやお前かーい！！！！！

はっっっっや

ウサイン・ボルトもびっくりする程の速度だわ

「ちょいと早すぎないかい？」

『だってほら、もう無い』

「へいへい。なくなってもいいように予備もここに置いとくよ」

『んー』

今度こそ帰ろうと扉を閉めるも、なんだか嫌な予感

たぶん、この予感は間違っていない

右手にドアノブを、左手にスマホを掴んだまま暫く立ちすくんだ

“ カトクッ♪ ”

“ 冷えピタぬるくなった ”

やっぱりお前かーーーいっっ！！！！！！

「次はなに！すぐ連絡してとは言ったけど何かあるならまとめて言ってよ！！」

『デコがぬるくて気持ちわりぃ』

「うんそれもね〜ここに一緒に置いてあるんですよ。見えてませんか〜？」

『だから俺、病人』

「病人でも冷えピタは付け替えられます」

風邪引くと寂しくなるって言うけどまさか……

いや〜オッパに限って、ねぇ？

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