関係 ページ7
❁⃘*.ﾟ
❁ロキ・キングキャスリング(くろせ様宅)
幼少期から護衛を務めていた。
彼の護衛のため、自分の行動が制限され、最初は不自由な生活に不貞腐れていた。
だが、悪戯の共犯者となったり、一緒に怒られたり、ロキとすることは全てが楽しく、お互いに親友だと思えるほど仲良くなった。
13歳の頃、ロキは落石事故に見せかけた暗殺未遂によって重体となる。
自分は傍に居たのに軽傷。その事実はトールの今までの意識を変え、ロキの護衛という自分の責務を強く認識、彼を守れるような存在になる努力をした。
ロキが皇帝となる日、小さく「怖い」という声が聞こえた。
普段見せない彼の姿に驚いたが、彼を励まそうと言葉をかけようとした。
「俺を頼れ」「俺がお前を守る」
......そんな言葉、自分が言えるのだろうか。
以前はしなかった考えが彼の言葉を詰まらせた。
トールは何も言えないまま、ロキが式に向かうのを見ていた。
式を終え、以前とは明らかに違うロキの顔を見て、自分たちは子供ではなくなったのだと実感が湧き、以前の彼を殺してしまったことを大いに悔やみ、泣いた。
彼と俺は、私はもう『親友』という関係にはなれないのだと、身分の違い、責任の重さの違い、役目の違い......全てが違う。
『親友』では彼を守れない。
全ての違いを受け入れ、自分の役目を全うしなければ。
我々は『大人』になったんだ。
今ではただの兵士として接するよう努力をしている。
性格も以前のものを塗り替え、優等生となる。
だが、彼が皇帝としての仕事をこなす姿を見ると、度々自分が殺してしまった以前の彼を思い出し、自分だけが過去の彼を独占しているのだと、そんな醜い優越感で心が少し満たされ、自己嫌悪で心が埋め尽くされる。
彼が自分に執着する姿を見る度に、口では拒絶していても、皇帝であるロキさえも自分は独占してしまうのかと、心の底にあるべっとりとした愛がこみ上がってくる。
「ロキ様」「陛下」と呼ぶ。
「......親友だなんて、私にはもったいなきお言葉。ですが陛下がご所望であれば、誠心誠意チェスのお相手を致しますね」
「私は以前のロキ様を救えず、見捨て、殺しました。さらに私は陛下に、醜い感情を抱いております。以前の陛下を殺したのは、独占したのは自分だけ。皇帝であるロキ様の愛情,劣情を独占しているのも自分だけ。その事実が心の底から嬉しく、愛おしいのです。私は、醜い人間なのです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ホッケ | 作成日時：2020年10月21日 13時
