保健室のカズナリ先生【×Ｎ】 (ページ1)

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KISS【SN】ページ1

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「失礼しまーす」

「はーい……って、櫻井くん。どうしたの？体調悪い？」

「あ、そうじゃないんですけど、教室がうるさいから……、今日もいいですか」

左手に持った勉強道具を掲げる。

図書室は、教室棟じゃなく特別棟だから微妙に遠くて。

自習室は他の生徒ですでに埋まっており。

保健室は、教室棟の１階だから近くて、基本的に先生くらいしかいないから静かなのもあって、よくここで勉強させてもらっている。

「だよねえ。んふ、いいよ。どうぞ」

「ありがとうございます」

いつものテーブルのいつもの場所に座り、いつものようにノートとワークを広げる。

そして、いつものように自分のイスを引っ張って来て隣に座る先生。

何かをするわけじゃなく。
たまに話をするけど、いつも話しているわけじゃなく。

ただ単に、そこにいるだけ。座っているだけ。

でも、先生が隣にいるだけということにひどく落ち着いている俺がいたり、している。

「ねえ櫻井くん、」

「はい」

「保健室、集中できるの？」

「はい。すごく集中できます」

「そっかあ。俺たまに話しかけてるけど、大丈夫？」

「大丈夫ですよ、全然」

「くふ、そっかあ。よかった」

嬉しいなあ、なんてボソッと呟いてご機嫌に鼻歌まで歌い始めた先生。

そんなに嬉しいんだろうか。

でもその鼻歌が、すーっと頭に入ってくる。

途中途中で、んふふっ、と笑ったりするのが可愛くて。

ずっと聴いていたいな、なんて。思ってしまったり。

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