放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ7)

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142:離れた想い　翔Side ページ7

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Aと会えない時間を、どうにかして埋められたら。

そう思っただけだった。

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あんなに声震わせて、きっと泣きながら

A、一体どこにいる・・・？

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温泉行きたいって二人で言ってたよな？

静かな山の旅館がいいって、二人で笑いながら話したよな？

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あいつらは別棟に部屋とって、俺ら二人はいい部屋でゆっくり
すればいいって言ってくれた。

一緒に飲んで騒ごう。

でも二人になりたかったら遠慮なく消えろよって

笑いながら言ってくれた。

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”翔がこんなにまじな女なら、きっと俺らとも長い付き合いになるだろうし”

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暗に結婚を含んだ言い方に、真っ赤になった俺をみんなは笑った。

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Aも一緒にいれたら、もっと一緒にいれたらって思っただけだろ。

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動かない頭の奥で、サイレンのような音がした。

何か大きな間違いをしたとわかるのに、どこで間違えたのかわからない。

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Aの嗚咽を耳にしながら、とりあえず静かな方へ移動する。

どういうことかAに聞こうとしながらも、言葉がでてこない。

その代りに嫌な予感が胸をよぎった、そのときだった。

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”・・・・・ッンセ！！”

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向こう側で、確かに聞こえた。

誰かが、アスファルトを蹴って駆け寄ってくる気配。

一瞬泣くのを止めたAの息遣い。

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耳を澄まして聞くこともせず、ただただ茫然と立ち尽くす。

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漏れ聞こえた次の声に、全身の力が抜けそうになった。

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・・・・・大野。

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どうして・・・

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Aがあいつに懇願する声

なだめる大野の声も

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気づきたくもないのに

甘く甘く、お互いを乞うような切ないその声が耳に届く。

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後ろで俺を呼ぶ声がして、そのままゆっくり電話を切った。

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