放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ6)

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141:涙の理由ページ6

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「翔・・・やっぱりあたしもう・・・」

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息を吸って、言おうとした言葉が零れ落ちるそのとき。

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智「・・・・・っセンセ！」

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突然後ろから掴まれた肩。

ぺたんと座り込んだままの膝に携帯が滑り落ちる。

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きっと涙でぐしゃぐしゃになった顔で、ゆっくりと振り向く。

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智「センセ・・・」

振り向いた私の頬を、ゆっくりゆっくり包むように撫でる手。

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その手の温もりに、心が嬉しいと泣いた。

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智「なんで泣いて・・・どうしたんだよ」

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膝の上から、私の名前を呼ぶ翔の声に・・・

一瞬眉をひそめた大野君が、そっと携帯に手を伸ばした。

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「だ・・め、やめて・・・」

小さく言う私を強く腕の中に抱きしめる。

「おねが・・・い・・・」

強く強く抱きしめられた大野君の胸に、叫ぶ。

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繋がったままの携帯を握った大野君の手が、私の背中で震えていた。

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着信画面には、名前が出てる。

翔だと、きっと、気づいた。

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お願い、そうもう一度囁いた私の声に

深い深いため息を肩越しにつく。

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智「・・・・切れた」

その言葉にまた泣き出す私の背中を、大野君が強く抱き寄せた。

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智「あいつが・・・彼氏？」

耳元に口を寄せて優しく聞く声に、震えながらうなづく。

智「まじ、か・・・」

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智「そんな泣くほど、何言われたの・・・」

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覗き込もうとする大野君から、顔を隠すように

抱きしめる彼の胸元に強くおでこを寄せた。

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お願い、見ないで。

泣いてるとこなんて見られたくない。

悲しくて泣いてると、そう思われてしまうのが怖かった。

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好きで・・・好きで泣いてるなんて

それを知られるのが恥ずかしくて、情けなくて。

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泣けば泣くほど、好きだと気づく。

なら、泣かなければいいのに

ただ泣きたくて、声もこらえず泣いた。

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息が苦しくなるほどの恋しさと切なさに

このまま呼吸が止まればいいとさえ思った。

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大野君が好きで

好きで

好きで

もう、どうしようもなかった。

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