放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ5)

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140:沈黙の隙間ページ5

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わずかな沈黙のこちら側と向こう側では

きっと気持ちはすれ違ったまま。

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翔「ごめん・・・そんな嫌がるとは思わなくて・・・。
わかったあいつらは断るよ。2人でいこう？な？」

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ため息まじりに、途方に暮れた翔が言った。

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違う嫌とかじゃない

そうじゃないそうじゃない

言いたい言葉は嗚咽になって翔には届かない。

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翔「A泣くなよ・・・頼むから。な？ごめん、俺が悪かった」

「・・・そうじゃない」

翔「いや、俺が悪いって。友達ばっかで・・・ってそういうことだろ？」

「言ったら・・・きっと翔はそうやって友達と会うのやめちゃうから。
あたしと一緒にいてくれてもそれじゃ翔が我慢してるだけで、それじゃっ＿＿」

翔「我慢なんかしねぇよ。俺だってAといたいんだから」

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きっと翔は理由を知るよりも、

今こうしてぐずる私をなだめることだけが精いっぱい。

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私がこんなわがまま言ったことないから、戸惑ってるだけ・・・。

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時折訪れる沈黙で、痛いほどそれがわかるから

息することさえ苦しくて、心が痛くて涙がボロボロ流れ落ちた。

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翔「言いたいことあんなら全部言っていいよ。
怒んないし、ちゃんと聞くから」

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言っても伝わらない想いを、どう言えば、いいの？

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わがままをいうと、きっと大切ななにかが消えてしまう。

わがままで引き寄せる愛情なんて、きっともろくて苦しいだけ。

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わかってるから、言えなくて

言いたいことが、わからなくて

涙ばかりが溢れていった。

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その時、翔の後ろで彼を呼ぶ声がした。

その声に翔が、”わりぃ、すぐ行く”と答える。

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「もう・・・いい。しばらく会うのやめよう？」

翔「え、ちょっと待てって。どういうこと」

「ごめん翔・・・翔が悪いんじゃない、あたしがっ・・・」

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耳の奥で、私を呼ぶ翔の声が何度も聞こえた。

力を失った体が、昼間の熱を残したアスファルトに沈んでいった。

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