放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ32)

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167:変わらない関係ページ32

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言葉を探して困り果てる私を、大野君は鼻で笑った。

智「また、その顔かよ・・・」

「え・・？」

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智「そっちはあいつとヨリ戻してるくせに、俺がほかの女と出かけんのはだめかよ」

「ヨリって・・・ちがっ」

智「違うわけねぇだろ。俺の前じゃ、そうやって辛い顔ばっかじゃん。
なのにあいつの横なら、あんな・・笑って・・・」

「ちょっと待って。違うの、そうじゃなくて」

智「もういい」

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”もういい”

突き放すようなその声に、何も言えなくなる。

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智「いくら聞いたって・・・どうせクソみてぇな答えしか返さねぇだろっ」

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大野君の手で乱暴に投げ捨てられたボトルが、廊下の先に響くほどの音を立てる。

その音に、体と心がびくっと震えた。

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「っ・・・ごめんなさい」

智「・・・・・」

「ごめ・・・ごめんなさい・・・本当に」

智「もういい、やめる」

「・・・っ」

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智「ずっと待つって言ったけど、もうやめるから」

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智「だから俺のこと気にしねぇで、センセの好きにすりゃいいよ」

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音合わせを終えた楽器たちが、柔らかい音を奏で始める。

その向こう側からは、サッカー部の掛け声と翔のホイッスルの音。

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言い訳をしたところで、もう何も変わらない。

ヨリなんか戻してない、そう伝えたところで何も変わらない。

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私と大野君の

先生と生徒の関係は

変わらない。

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黙ったまま、大野君の視線をまっすぐ受け止めて立っていた。

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”好きだよ”

そう言ってくれた声が、オワリを告げる。

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先に視線をそらしたのは大野君で、そのままゆっくりと

私の横を通り過ぎていった。

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通り過ぎるときに、揺らした空気が

大野君の香りを私に残していった。

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智「センセーサヨーナラ」

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背中で聞こえた無機質な声が、残る香りと共に

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いつまでも

いつまでも

いつまでも

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私に纏わりついて。

いつまでも、ヒトリにはしてくれなかった。

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