放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ29)

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164:年の差　ニノSide ページ29

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ひとしきり泣いてから。

彼女の話を、隣に座って聞いた。

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要は、些細な勘違いで。

お互いがいっぱいいっぱいで、思いやる気持ちがあと少し足らないだけだった。

こんなに大野に思われてるってのに、よくあの女子にやきもち妬くもんだと
口に出しては言わないけれど、心の中で少し笑う。

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それよりも

ヨリを戻したと勘違いしただろう大野のことを思うと、ちょっと切なくなった。

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彼女が立ち上がり、すっかり暗くなった部屋に灯りをつける。

カーテンを締めていくその背中に問いかけた。

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二「で、どうすんの」

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二「この間、静先生にも話したんだろ？あいつすんごい心配してたよ。
”Aはどうしたいんだろう”って。見てて切ないってさ」

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二「・・・大野がどうしたいかは、知ってんだろうが」

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「・・・知ってるから、どうしようもできないんじゃない」

二「なぁーんで」

「契約覚えてない？生徒と個人的な関係を結ぶのはなんちゃらって。
大野君は、私にとって生徒でしょ・・・？」

二「生徒とじゃなくて、大野と、どうしたらいいのかわかんないんだろうが」

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そう聞くと、小さい声で”だって”とつぶやいてから

またゆっくりと隣に座った。

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「立場抜きにしても。やっぱり年が・・・ね」

二「自分じゃ不釣り合いって？」

「ていうより、さっきみたいな同世代の子と恋愛した方が幸せじゃないかなって」

二「・・・いやそれは別に」

「大野君にとってはこれからの人生のうちでする恋の一つかもしれない。でも私は、
軽く恋愛するっていう考えがもうないから。将来も考えてしまうし、遊びじゃ・・・」

二「恋愛にたいする考え方の違いか」

「ずっと一緒にいるって言ってくれたけど、たぶんずっとの意味が

私と・・・大野君とじゃ違うと思うの」

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それは、男と女の価値観の違いともとれるだろ。

そう言おうとした言葉を飲み込む。

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いつ結婚してもおかしくない年齢の女が

まだ成人もしてない男・・・生徒と。

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ずっとを願う葛藤がどれほどか、男の俺でもわかったから。

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