放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ23)

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158:堪えきれぬ涙ページ23

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遠ざかる二つの足音が、角を曲がって聞こえなくなる。

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翔「A・・・？」

「あっごめん、持たせたまんまで(笑)部活行かなきゃでしょ？早く運ばないと」

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情けない顔をしてるのを見られないよう、翔の先をどんどん歩いた。

さっきまではピクリとも動かなかった足が、不思議なくらい今はスイスイ動く。

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足が動くたびに、じわりとまぶたの奥が熱くなる。

堪えようと噛んだ下唇が震える。

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泣くもんか、泣くもんか

泣いても仕方がないでしょ

全部、自分が決めたことじゃない

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今まで何度も繰り返し思ったことをまた心に思って歩いた。

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たどり着いた保健室の扉を開けようと、膝で箱を支えたとき

思いがけず扉が中から開いたから、驚いて箱を落としそうになった。

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二「おっ、やーっときた。コーヒー飲みにきたらいな

・・・いからさ」

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思いっきり真正面から見つめあうはめになって、顔を隠す暇さえなかった。

だから、二宮先生は、すぐ気づいて

小さなため息をついた・・・。

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翔「これ、中に置いとくから。俺部活行かないと」

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先に中に入った翔が、箱を置いて戻ってくるのを

その場にぼーっと突っ立ったまま見つめる。

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「ありがとう。ここまで運んでもらって・・・」

翔「別に大丈夫(笑)でも次からは最初から誰かに頼めよ、な？」

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腕組みしてドアに寄りかかってみている二宮先生に、翔が

翔「ちょっと、来週のことなんだけど・・・いい？」

そう言って離れたところに呼んだのは、どう考えたって私のこと。

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そのまま二人に背を向けて中に入り、扉を後ろ手に閉めた

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途端

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堪えきれなかった涙が一粒だけ、白衣の裾でシミになった。

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