放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ21)

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156:お似合いページ21

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他愛もない話を、翔と並んで話す。

私が時々箱を持ち直すと、そのたびに翔は立ち止まって

”大丈夫？”

と聞いた。

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思えば、この学校に着任して最初に校内を案内してくれたのは翔だった。

緊張して、教えてもらう場所や事柄を全てメモしながらついていく私に

”大丈夫(笑)？”そう何度も優しく聞いてくれたのを今思い出す。

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目にかかる前髪を、頭を振って翔がはらう。

翔「前髪邪魔だな」

それが口癖だと気付かずに呟く翔を、もう懐かしいと感じる自分に

ほんの少し驚きながら顔を上げたときだった。

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向こうから、歩いてくる大野君が・・・見えた。

頭をかきながら、いつも通りの崩れたスタイルでペタペタと歩いてくる。

でも、ひとりじゃなくて・・・

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*「あーっ櫻井先生A先生といちゃついてるぅー(笑)」

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隣に見えた女の子が翔にひらひらと手を振る。

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確か翔のクラスで

”見た目きれいだけど、性格は超ブッサイクで大嫌い”

そう亜子ﾁｬﾝが言っていた子・・・。

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ゆるくまとめたお団子をふわふわ揺らしながら、

大野くんの横にぴったりと寄り添うように歩いてくる。

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校内ではありふれた光景なのに、生徒が二人歩いてくるだけなのに。

どうしても、うまく息ができなくて・・・

抱えた箱をぎゅっと引き寄せて、何とか笑顔を作ろうとした。

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翔「ただこれ運ぶの手伝ってるだけだろ。からかってないでさっさと帰れ(笑)」

*「A先生気を付けてね、櫻井先生に手出されないように(笑)」

翔「バカなこと言ってないでほら。雨降りそうだしとっとと帰れ」

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大野くんの方を見れないまま、その子をただ黙って見つめていた。

アイラインで縁取られた、キラキラした瞳。

ツヤツヤした肌をほんのり彩るチークとグロスで光る唇。

自分がキレイに思われてることを、ちゃんと彼女はわかってる。

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大野君とその子には、何の違和感もなかった。

制服の二人、放課後の廊下、同じ色の上履き。

きっとこういうのを、お似合いだと言うんだろう。

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心臓はドクンドクンと大きくゆっくり痛いほどに胸を打つ。

苦しくて、この場から一刻も早く消えたいと願う私に

その子はにっこり笑って言った。

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