放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ17)

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152:終わった二人ページ17

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「ごめんなさい・・」

翔「いや、俺こそ本当にごめん。・・・もっとAのこと
知ろうとすべきだった」

「私がもっと話して、伝えなきゃだったんだと思う」

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大人になって言葉を知れば知るほど、伝えることのむずかしさを
嫌というほど思い知ってきた。

なのに、口にしなくても大切な気持ちだけはきっと伝わると

私は翔に甘えていたんだろう。

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翔「まぁ、今更だよな(笑)」

大きく首をぐるりと回して、翔は口の端をあげて笑った。

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翔「・・・でも、Aと過ごした時間は
俺本当最高に幸せだったよ・・・まじで」

「ぅん・・・私も」

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会えなくて寂しい記憶は、今はもう何一つ浮かばない代わりに

一緒に過ごした暖かな時間ばかりが浮かんで、胸が痛んだ。

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翔「いびきは嫌だっつったくせに(笑)」

「それと歯ぎしりもね(笑)？」

翔「まさか本当の理由それじゃねぇよな？」

「違うってば(笑)」

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別れ話を笑って話すのは、そうじゃないと二人とも辛いから。

スツールの不自然にあいた距離や

静かにあげる控えめな笑い声や

合すことなく前を見たままの視線が

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終わった二人を表わしていた。

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大野君の名前を、お互い口にすることは一度もなかった。

聞かれるかと覚悟していたのに、翔は聞かないままだった。

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翔「かっこいいこといって、見送れたらいいんだけど」

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先に帰ろうと席を立つ私に

グラスの氷を、ゆっくり回しながら翔が言う。

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翔「しばらくは、好きなままで・・・いさせて」

「翔・・・」

翔「ちょっと、すぐは無理だと思う。
だからって、俺んとこ戻ってくんのはなしな(笑)？

・・・絶対、戻ってくんなよ」

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幾度も触れたその柔らかい唇が、震えながらグラスに触れる。

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翔「また、学校で」

「ん・・・」

翔「大丈夫、そんな顔すんなよ(笑)
プロだろ俺らそこは」

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少年のようだと、見つめるたびに思った黒色の瞳が
私を見つめながら長いまつげを揺らして笑った。

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