第五十八話 私の特等席 ページ9
昨夜、雨に打たれすぎたせいで風邪をこじらせた私は、芹沢の葬儀には参加せず、部屋で寝込んでいた。ずっと寝込んでいるのも暇なため、襖を開けて布団に横になった状態で、外の景色を眺める。空は昨日の雨が嘘だったかのような青空が広がっていた。
「こら、A。襖を開けたら、せっかく温めた部屋が冷えちゃうでしょ」
少しだけ開けていた襖が開き、小千谷を持った総司が部屋に入ってきた。
『総司……』
沖田「寒くない?」
『うん……平気…』
沖田「食欲は?小千谷作ってきたけど、食べれそう?」
『……総司が作ってくれたの?』
沖田「そうだよ。他の人に任せたら、Aの嫌いな食べ物を入れられるかもしれないでしょ?Aの事は、僕が一番わかってるんだからさ」
『フフ……そうだね。ありがとう、総司』
気だるい体にムチを打ち、上体を起こせば、総司が小千谷の乗った盆を適当なところに置いて、私の後ろに回って、私の体を支えてくれた。
沖田「A、無理しなくていいよ。起き上がるのも辛いんでしょ?」
『……総司がせっかく作ってくれたんだもん……食べたい』
そう言えば、総司は「ハハッ」と笑って、私を自分の膝の上に座らせた。
沖田「Aはかわいいね……けど、本当に無理して食べなくていいからね。見たところ、熱も下がってないみたいだし」
『総司が看病してくれたらすぐ治るよ』
沖田「もう、調子いいんだから」
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ちさ - 令和の今も、読ませて頂いてます更新楽しみにしてます。お願いします (4月14日 18時) (レス) @page47 id: f2fc5cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
紗希(プロフ) - こちらの作品は今後更新されませんか? (10月23日 6時) (レス) id: ee912569d3 (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読んでいます。占いツクールの中で一番好きです。黎明録から物語をスタートする作品は中々ありませんから。 (2022年6月10日 8時) (レス) id: 2f199dd6da (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初コメ失礼します!この作品のアニメは私も大好きなので読むことが出来て嬉しいです!これからも楽しみに続きを待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください! (2021年12月24日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 大好きすぎて何度も読み返してます。きゅん通り越してぎゅんときてます笑更新楽しみにしてます!! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 511533d2cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2019年2月26日 12時