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第八十話 泡沫のヒロインが二人 ページ31

夕餉のあと湯浴みを済ませ、普段通りに総司の腕の中で眠りについたのだが、私は眠れずにいた。

『……お茶…煎れよ…』

総司を起こさないように、そっと総司の腕から抜け出して、私は部屋の外へ出る。暖かい部屋から寒い外にでたせいか、自然と体が震えた。
温かいお茶でも飲んで、早く部屋に戻ろう──私は台所を足早に目指す。

『ケホッ……ケホッ……寒い……このままじゃ風邪引く……総司に怒られる……』

そんな独り言を呟きながら咳を繰り返していると、近くの部屋の襖が開いた。驚いて目を丸くして部屋の方へ視線を向ければ、そこに居たのは千鶴ちゃんだった。

『ち…千鶴ちゃん……』

ああ……ここ…土方さんが千鶴ちゃんに与えた部屋だったんだ……知らなかった。

千鶴「あ…あの……大丈夫ですか…?」

『……大丈夫……ごめん。私のせいで起こしちゃったね』

千鶴「い、いえ…!私、今日のことで眠れなくて……Aさんのせいでは……」

『……夕餉の時のこと……まあ、気になるよね』

千鶴「はい……深入りするつもりはないんですが……なんだか眠れなくて……立ち話もなんですし、よろしければ中へどうぞ。外、寒いですし……風邪引いちゃうといけませんから」

『……じゃあ……お茶煎れてくるからちょっと待ってて』

千鶴「え…!?」

『お茶を飲もうと思ってたところだし、千鶴ちゃんは部屋から出れないでしょ?だから、ちょっと待ってて』

千鶴「わ、わかりました……ありがとうございます、Aさん」

『どういたしまして』

第八十一話 満ち足りた気持ちに喜んで→←第七十九話 秘密の内側



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ちさ - 令和の今も、読ませて頂いてます更新楽しみにしてます。お願いします (4月14日 18時) (レス) @page47 id: f2fc5cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
紗希(プロフ) - こちらの作品は今後更新されませんか? (10月23日 6時) (レス) id: ee912569d3 (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読んでいます。占いツクールの中で一番好きです。黎明録から物語をスタートする作品は中々ありませんから。 (2022年6月10日 8時) (レス) id: 2f199dd6da (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!この作品のアニメは私も大好きなので読むことが出来て嬉しいです!これからも楽しみに続きを待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください! (2021年12月24日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 大好きすぎて何度も読み返してます。きゅん通り越してぎゅんときてます笑更新楽しみにしてます!! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 511533d2cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セシル | 作成日時:2019年2月26日 12時

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