第六十八話 正しく不完全 ページ19
あれから四日後──Aの体調が回復したため、僕とAは土方さんの部屋に呼ばれた。土方さんから彼女の処分を聞いたAは、あからさまに顔を顰めた。
『綱道の娘…ねぇ……その時点で信用出来ないんだけど…?』
土方「とはいえ、あの人の娘を殺す訳にもいかねぇだろ」
『──女の私が言うことじゃないけどさ……新選組にかくまわれている女が居るって話が万一にも広まれば、よくない勘繰りをする奴も出てくるんじゃないの?』
土方「だからあいつには男装を続けてもらい、部屋も与えて引き籠らせている。Aとは状況が違うからな」
沖田「あれ、おかしいなあ。あの子、誰かさんの小姓になるんじゃなかったですか?」
土方「……いいか、総司。てめえは余計な口出しせずに黙ってろ」
土方さんは眉間のシワをさらに深めて、そう言った。そんな土方さんを真っ直ぐ見つめ、Aが口を開く。
『土方さんたちが決めたなら従いますよ』
あまりにもあっさりした態度のAに、僕も土方さんも目を丸くする。驚く僕らに、Aは「何」と再び顔を顰めた。
土方「やけに身を引くのが早ぇと思ってな……」
沖田「僕も…もっと駄々をこねると思ってたよ」
『今さら私が何を言っても無駄でしょ?あの子を置くことは決まったんだから……まあでも──新選組に害ありと判断したら斬っちゃうかもね』
にっこりとかわいらしい笑顔を浮かべて、Aは部屋を出ていった。Aが部屋を出ると同時に、僕と土方さんはため息をこぼす。
土方「Aのこと、頼んだぞ」
沖田「もちろんですよ」
211人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちさ - 令和の今も、読ませて頂いてます更新楽しみにしてます。お願いします (4月14日 18時) (レス) @page47 id: f2fc5cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
紗希(プロフ) - こちらの作品は今後更新されませんか? (10月23日 6時) (レス) id: ee912569d3 (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読んでいます。占いツクールの中で一番好きです。黎明録から物語をスタートする作品は中々ありませんから。 (2022年6月10日 8時) (レス) id: 2f199dd6da (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初コメ失礼します!この作品のアニメは私も大好きなので読むことが出来て嬉しいです!これからも楽しみに続きを待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください! (2021年12月24日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 大好きすぎて何度も読み返してます。きゅん通り越してぎゅんときてます笑更新楽しみにしてます!! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 511533d2cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2019年2月26日 12時