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第六十四話 災いの茨 ページ15

昨晩の酷い吐き気は治まり、体も多少は楽になった。近くにあった羽織を羽織って顔を洗うため、部屋の外へ出る。雪が積もっているせいか、羽織を羽織っていても、寒さで体が震えた。

『ゴホッ……ゴホッ……早く部屋に戻らないと……また総司に怒られる……』

誰にも見つかりませんようにと願いながら、自室へ戻る途中、広間から声が聞こえて、私は迷う事なく広間の襖を開けた。広間の中には、私を除いた幹部たちが揃っていた。

『──あら、皆さん……お揃いで』

永倉「何だ、Aちゃんか……」

藤堂「おまえ、急に入ってくんなよな!びっくりしたじゃねぇか!」

『だって、私抜きで面白そうな話してるんだもん』

私は口元に笑みを浮かべて「仲間外れなんて酷くないですか?」と土方さんに視線を向ける。すると、土方さんは眉間の皺を更に寄せて「後で総司に伝えさせるつもりだったんだ」と言った。

『ふーん……で?そいつ、誰?』

部屋の中央に手を拘束された状態で座る人間を指させば、総司が「その子に昨日見られちゃったんだよね……あれを」とにこやかに答えてくれた。「じゃあ、何でその場で始末しなかったの?」と思ったことを口にすれば、部屋の中の空気はピリつき、総司の笑い声だけが響き渡った。

原田「総司……笑い事じゃねぇだろ」

沖田「だって、Aなら絶対そう言うと思ったから可笑しくって」

『──そいつが女だから殺さず連れ帰ってきたの?』

藤堂「はぁ!?女!?」

永倉「おまえ、女なのか!?」

沖田「どう見ても女の子でしょ」

『女だから殺せなかったって言うなら、私が殺してあげるよ。総司、刀貸して』

そう言って部屋に足を踏み入れ、総司に向かって手を出せば「止めねえか、A!!」と土方さんに怒鳴られた。「何故?」と首を傾げれば、土方さんは難しい顔で「とりあえず、座れ」と言った。私はわざと盛大なため息をついて、総司の隣に腰を下ろした。

第六十五話 都合の悪い大人達の譚詩曲→←第六十三話 ノンストップ・ロマネスク



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ちさ - 令和の今も、読ませて頂いてます更新楽しみにしてます。お願いします (4月14日 18時) (レス) @page47 id: f2fc5cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
紗希(プロフ) - こちらの作品は今後更新されませんか? (10月23日 6時) (レス) id: ee912569d3 (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読んでいます。占いツクールの中で一番好きです。黎明録から物語をスタートする作品は中々ありませんから。 (2022年6月10日 8時) (レス) id: 2f199dd6da (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!この作品のアニメは私も大好きなので読むことが出来て嬉しいです!これからも楽しみに続きを待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください! (2021年12月24日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 大好きすぎて何度も読み返してます。きゅん通り越してぎゅんときてます笑更新楽しみにしてます!! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 511533d2cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セシル | 作成日時:2019年2月26日 12時

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