第六十三話 ノンストップ・ロマネスク ページ14
『ゲホッ……ゲホッ……』
原田「A、水飲むか?」
体を丸めて咳き込むAは首を横に振り、口元を押さえながら上体を起こした。
『さ……の…さん……ごめんね……』
原田「気にすんなよ。こういう時は、素直に甘えてりゃいいんだよ」
土方さんと総司、斎藤の三人が逃げ出した羅刹の討伐に向かった直後、元々体調を崩していたAの容態が悪化した。今回は吐き気が酷いようで、背中をさすってやっているが、一向に治まる気配はない。
「左之さん、悪ぃ……ちょっといいか?」
襖の向こうから聞こえてきたのは、平助の声だった。不安そうに俺のことを見上げるAに「ちょっと待っててくれ」と告げて、部屋の外へ出る。部屋の襖をゆっくり閉めれば、神妙な面持ちの平助が「Aの様子はどうだ」と聞いてきたため「良くはねぇな」と答える。
藤堂「そっか……じゃあ、Aは無理か」
原田「土方さんたちに何かあったのか?」
藤堂「いや、無事に帰ってきたんだけどさ──ちょっと厄介な事に……」
原田「厄介な事…?」
藤堂「とにかく、土方さんが“広間に集まってくれ”って……左之さんも早く来てくれ」
原田「そうは言ってもな……今の状態のAを一人には出来ねぇだろ──総司、帰ってきてんだよな?呼んできてくれ」
そう言えば、平助は「わかった!」と颯爽と広間の方へ駆けて行った。それからすぐ、広間の方から酷く慌てた様子の総司がやってきた。
沖田「Aは…!?」
原田「部屋の中だ。総司たちが出てすぐ、体調が悪化してな……熱と吐き気が酷くて眠れねえみてぇだから、ゆっくり休ませてやってくれ」
沖田「ありがとう、左之さん……左之さんが居てくれて助かったよ」
原田「じゃあ、あとはよろしくな」
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ちさ - 令和の今も、読ませて頂いてます更新楽しみにしてます。お願いします (4月14日 18時) (レス) @page47 id: f2fc5cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
紗希(プロフ) - こちらの作品は今後更新されませんか? (10月23日 6時) (レス) id: ee912569d3 (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読んでいます。占いツクールの中で一番好きです。黎明録から物語をスタートする作品は中々ありませんから。 (2022年6月10日 8時) (レス) id: 2f199dd6da (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 初コメ失礼します!この作品のアニメは私も大好きなので読むことが出来て嬉しいです!これからも楽しみに続きを待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください! (2021年12月24日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 大好きすぎて何度も読み返してます。きゅん通り越してぎゅんときてます笑更新楽しみにしてます!! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 511533d2cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2019年2月26日 12時