19*レイテン ページ19
それから私は何を話したのかは忘れた。
ただ二人とも悲しげな表情をするから。
今隣を歩いている赤坂はいつものテンションに比べたら大分大人しい。
送っていきますというから、多分アピールするんだろうなと思ったら普通に歩いてるだけ。
なんだかこっちの方が気まずい。
この沈黙に耐え切れず私は話を持ち出した。
「何で私なの」
しまった、こんな時にする話題じゃなかった。
ほら見ろ、赤坂もぽかーんとしてるでないか。
仕事出来ても、プライベートでの会話は酷いくらいに下手だ。
しかし赤坂は笑いながら口を開いた。
「先輩から話を振られるなんて。ああ今日死 ぬかもしれない」
「縁起でもないことを言わないで頂戴。どうして可愛い子はいっぱいいるのに私なの」
「先輩だって可愛いですよ」
「赤坂に言われたら喜ぶ子はいっぱいいるのに」
自分で言ってて分からなくなってきた。
「先輩。人は三度死ぬって聞きません？俺の場合は一度は親に殴られた日。二度は家を出た日。三度は割とすぐ。先輩に恋した日だと思うんです」
その大きく見開いた瞳はとても真剣で、つい見入ってしまう。
風で髪がさらさら揺れながら、赤坂は話を続けた。
「先輩に出会ったのは大学生の時です。覚えていませんか。インターシップがあったあの日。先輩と俺は会っていたんですよ。俺がスーツを思い切り汚した時、先輩は気をつけなさいと言いながらタオルを持ってきてくれたんです」
2年ほど前の出来事を赤坂は鮮明に思い浮かべては、ふわりと笑う。
私からしたら、そんなこともあったな程度の出来事だ。
会社に向かう途中で、車が通り過ぎて水たまりの水がかかったっていう人がいたのを覚えている。
あれが赤坂だとは思ってなかった。
「あの時から先輩は優しい人なんだって思ってました。でもここに入った理由は夏樹に不自由のない生活を送らせたくて、なるべく給料のいいとこを選びたかったからですけども」
「私は忘れてたわ」
「先輩と同じ部署だと知ったときは嬉しかったんです。でも仕事が被る機会がなくて。そんなある日、先輩がこっそりイチゴミルクを買ってるのを見たんです」
今までの酷い発言より大分まともな理由だなって思いながら、聞き入ってしまう。
「それを見て愛おしくて、イチゴミルクになりたいと思いました」
「台無しだわ」
「それから毎日目で追いかけるようになりました」
前言撤回。酷い告白だわ。
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ルリアイス(プロフ) - 夢魔さん» ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年1月11日 0時) (
レス) id: 0fcb288ad8 (このIDを非表示/違反報告)
夢魔 - 凄く面白かったです！ これからも応援してます！！ (2020年1月10日 23時) (レス) id: f6b046dcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ☆アイス | 作成日時：2019年10月28日 22時
