37 蕎麦屋の二階 ページ40
『責任…壊してしまったものは弁償いたしますし、それに…』
「そういうことじゃない。分かんない?」
なんとなく嫌な予感がする。
手先が冷たい。
耳元で男の人が囁く。
小太りの体が近づいた。
「…俺ちょっと遊びたいんだ。相手してよ」
・
連れてこられたところは蕎麦屋だった。
私は心底安心する。
お詫びに蕎麦を奢るということだろうか。
『お蕎麦ですか?』
男の人は答えない。
蕎麦屋の暖簾を潜り、そのまま素通りして階段を登ろうとした。
『…ま、待ってください。蕎麦屋は一階で二階ではお蕎麦は売ってないですよ』
「いいから」
手を乱暴に引っ張られる。
なにか、すごく嫌な予感がする。
鳥肌が立った。いますぐこの手を振り解きたい。
しかし自分からぶつかってしまった落ち度があり、私は何もできなかった。
冷や汗が新品の着物を湿らす。
階段を上がった先に布団が敷かれていることに気付いて、私は思わず叫び出しそうだった。
「…そんな高価な着物着て、こういうことは慣れてるんだろ。相手してよ」
『そ、そんな訳ないじゃないですか…!』
肩に手を回される。
激痛が電流のように走り、悲鳴を上げた。
「いいね。そういうの。唆る」
『やめてください…』
「責任、取ってくれないんだ。ぶつかったのに?」
さっき切ったばかりの髪に触れられ、悪寒が走る。
直後、最悪なことが起きた。
チュッ
『え…え…』
思考が停止して目の前が真っ白になる。
男の口の口角がにんまりと上がった。
生理的な涙がぼろぼろ溢れる。
こんなに怖くてたまらないと思ったのは人生ではじめてだ。
…初めての接吻、だった、のに。
「泣かないでよ。俺が悪いことしてるみたいでしょう」
抱きしめられた胸板を強く押す。
女とはいえ、普通の人間よりは力は強く、大柄なこの男もよろめいた。
「そんな乱暴な女の子は嫌だなあ。
黙らせてやる」
怖い、怖い、怖くてたまらない。
今度こそ私はもう動けなくなった。
着物に手をかけられる。そこから手が入ってきて乱暴に脱がせた。
「…ッ、最高だよ君の体…!」
はあはあと荒い息が直に顔にかかる。
もう抵抗する術もなく、床に組み敷かれる。
そのとき、だった。
……
わからない方は 蕎麦屋の二階 大正時代 で調べてみてね
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iro(プロフ) - とても面白いので何度も見返しました!更新待ってます😭 (2021年12月18日 1時) (レス) @page48 id: 7a4adf1725 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 更新待ってますね。頑張ってください。応募していますね。 (2021年10月17日 11時) (レス) @page48 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
あの子 - だいすきです。こちらの小説の更新とっても楽しみしてます。私の生き甲斐にさせていただいております。ありがとうございます! (2020年11月23日 6時) (レス) id: 75f2a07ea6 (このIDを非表示/違反報告)
栗栖イオリ(プロフ) - Zoom さん» ありがとうございますすす!!!励みになります頑張ります( ; ; ) (2020年11月8日 20時) (レス) id: 9c320e19a4 (このIDを非表示/違反報告)
反逆神・限界突破.モダッチュ(プロフ) - すみません!!遅くなりました!!でもかけました!!お手数おかけしますが、いおりさんのボードにURLを載せちゃいました…… (2020年11月5日 20時) (レス) id: 971db014c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗栖イオリ | 作成日時:2020年9月16日 0時