36 お使い ページ39
・
“Aさん。少し街の方で買ってきてほしいものがあります。
こちらに書いておくので、時間のあるときに行ってきてくださいね。”
『…お使い、か』
手紙を持ってきてくれた鎹烏を撫でて、私はいったん蝶屋敷に戻ることにした。
街に行くなら、あの着物を着て行きたい。
街で失恋を忘れられるような素敵な人に出会えたら…なんて思って思わず首を振る。
そうだ。剣士たるもの、色恋に現を抜かすようなことはあってはならない。
もう恋はしないって決めた。強い鬼狩りになれるのなら、何かを捨てる選択だって必要だ。
『よし。これも任務のひとつだよね』
手紙を握りしめて蝶屋敷へ向かった。
・
『…本当すごい、街って…』
街は賑やかだ。
一昔前と違って、多くの人が行き交う街は、美味しそうな匂いや、新作の香水の匂いなど、思わず足が止まりそうな匂いが立ち込めている。
結局着物は着てきた私は、慣れない足取りでちょこちょこ歩く。
『薬草は買ってきたし、あとは注射器とタオルケットと…』
あとはお鍋を買ってこなくちゃ。
そのときだった。
ごちん！
ドサッ
『あ、ごめんなさ…』
目の前にぶちまけられた白い粉を見て私は絶句する。
何か運んでいた人にぶつかってしまったみたいだ。
ぶつかった男の人は尻もちをついていた。
私は思わず青ざめる。
『ご、ごめんなさい…！どこか、怪我は』
「…」
返事がない。
私はうろたえる。
どうしようどうしよう、と頭の中がぐるぐる回る。
怪我でもさせていたら。
私がちゃんと前を見なかったから…
「…お嬢ちゃん」
『なんでしょうか…？』
くぐもった声をよく聞こうとしてかがむ。
その襟元を引っ張られる。
「…責任、取ってくれるよね？」
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iro(プロフ) - とても面白いので何度も見返しました！更新待ってます😭 (2021年12月18日 1時) (
レス) @page48 id: 7a4adf1725 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 更新待ってますね。頑張ってください。応募していますね。 (2021年10月17日 11時) (レス) @page48 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
あの子 - だいすきです。こちらの小説の更新とっても楽しみしてます。私の生き甲斐にさせていただいております。ありがとうございます！ (2020年11月23日 6時) (レス) id: 75f2a07ea6 (このIDを非表示/違反報告)
栗栖イオリ(プロフ) - Zoom さん» ありがとうございますすす！！！励みになります頑張ります（ ; ; ） (2020年11月8日 20時) (レス) id: 9c320e19a4 (このIDを非表示/違反報告)
反逆神・限界突破.モダッチュ(プロフ) - すみません！！遅くなりました！！でもかけました！！お手数おかけしますが、いおりさんのボードにURLを載せちゃいました…… (2020年11月5日 20時) (レス) id: 971db014c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：栗栖イオリ | 作成日時：2020年9月16日 0時
