03 気付いてたの? ページ4
藤の花の家紋の家にて。
…
女性という理由で広すぎる部屋にひとり。
報告書に筆を滑らせているところだった。
「俺だよ。入るね」
障子をすぱーんと開けられて善逸が入ってくる。
とたんに私の心臓は飛び上がった。
筆を止めて善逸の顔を認め、またそらした。
黙っていれば端正な顔立ちだ。
少なくとも私にはそう見える。
「相変わらず達筆だねぇ」
書きかけの報告書を見て呟く。
書道は得意だ。
よっこいしょ、と私の横にあぐらをかく善逸。
何の用で来たの。
そう訊こうとして、好きなんだ、なんて言われたりでもしたら。
とまあありもしない妄想は一瞬で打破して、私は冷静な雰囲気を繕って善逸の方を向いた。
『なにか用があった?』
「ん?ああ、えっとね」
頭をがしがしと掻く様子を見て私は確信した。
いや、もとから告白されるかもなんて考えてないっ、考えてない、…
いや、なんか悲しくなってきたんだけど!
「最近、呼吸器大丈夫なの?」
頭に冷水をかけられた感覚がした。
固まる私を見て、後で何かを感じたのかあっごめんねごめんね、と善逸が慌てる。
「その…今日、ちょっと息が上がっていたというか」
バレていた。
善逸はそういうところがある。
いつも弱いふりして急に強くなったり、
馬鹿なふりして実はいろんなことに気付いていたり。
「前はなかったよな。どこかしんどいんじゃないの」
労わるような優しい声に、今はときめかなかった。
見ぬかれていた。
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作者欄
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きり悪いけど次行きまーす
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iro(プロフ) - とても面白いので何度も見返しました!更新待ってます😭 (2021年12月18日 1時) (レス) @page48 id: 7a4adf1725 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 更新待ってますね。頑張ってください。応募していますね。 (2021年10月17日 11時) (レス) @page48 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
あの子 - だいすきです。こちらの小説の更新とっても楽しみしてます。私の生き甲斐にさせていただいております。ありがとうございます! (2020年11月23日 6時) (レス) id: 75f2a07ea6 (このIDを非表示/違反報告)
栗栖イオリ(プロフ) - Zoom さん» ありがとうございますすす!!!励みになります頑張ります( ; ; ) (2020年11月8日 20時) (レス) id: 9c320e19a4 (このIDを非表示/違反報告)
反逆神・限界突破.モダッチュ(プロフ) - すみません!!遅くなりました!!でもかけました!!お手数おかけしますが、いおりさんのボードにURLを載せちゃいました…… (2020年11月5日 20時) (レス) id: 971db014c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗栖イオリ | 作成日時:2020年9月16日 0時