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胃薬が三十八錠 ページ49

柱は再び九人になった。

いつも通りのように見えて、いつも通りではない日常。

何かが物足りない、からっぽの毎日。

もう渡す必要の無い大量の胃薬。

沢山の文字が書かれた作戦書。

地形、その土地の高さ、位置等が詳しく書かれた地図。

赤い彼岸花が描かれた羽織も。

壁に立て掛けてある日輪刀も。

空いたままになった、桜が咲き乱れる屋敷も。

全てが過去に置き去りにされたまま。

時が止まり、もう動く事も無い。

元鬼殺隊桜柱 桜花 A。

彼女の訃報は、多くの隊士達に伝えられ何人もの隊士達が涙を流した。

鬼になっても尚、彼女は刀を振るい続け剣士としての生涯を終えた。

誰もが悲しみに打ちひしがれ、命の重さを再度認識した。

だが

彼女は最期に笑っていた。


「ありがとう」


そう言葉を残し。

他に何も言う事もなく。

静かに。

まるで桜の花弁が地に落ちるように。

塵となり、消えて行った。



「アイツ、今頃何してんだろうな」

「うむ!実に気になるな!」

「…そう、だな」

「きっと作戦書や地図を書いているのではないでしょうか?」

「仕事熱心な奴だな。死して尚鬼殺隊の仕事を持ち帰るとは」

「Aちゃんらしくて素敵だと思うわ!」

「折り紙、してるのかな」

「きっと極楽に行けたのだろうな…」

「ハンッ、天国でも説教垂れてそうだなァ」


『______皆さんこそ、いつも通りですね』


一同の動きが止まった。

聞き慣れた懐かしい声。

だが、そこには誰もいない。

満開の桜の木があるだけ。

それでも。

彼女は確かにここにいた。

影も形もなくても。

いつでも、皆の側にいる。

優しい笑みを浮かべて。








『皆さんがいつも通りで…今日も今日とて、胃が痛いですね』








桜の花弁が、より一層美しく舞い上がった__________

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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もやし好きのもやし | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年9月7日 1時

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