胃薬が三十五錠 ページ46
剣と剣がぶつかり合う甲高い音が響く。
互いに火花を散らしながら舞い踊る様に。
文字の入った瞳が月の光を受けて鈍く光る。
『(…早い。このまま渡り合えば壁に追い詰められて終わる。なら＿＿＿＿ッ)』
突然、Aが前に駆け出し襲い来る刃が頬を掠った。
白い肌に朱線が走り、鮮やかな色の血液が流れ落ちる。
『…血鬼術 ''紅彼岸''』
「…！(血鬼術も使える様になっていたのか…？)」
自身の手首を切り裂き、辺りに血液を飛散させる。
すると、Aの血が落ちた地面からは毒々しいまでの赤色をした彼岸花が咲き誇る。
「彼岸花か。だが…ッ」
「冨岡さん！それに触れてはいけません！！」
義勇の刀が彼岸花に触れる瞬間、しのぶの声が辺りに響き渡る。
「その花、触れた物を腐らせる事が出来るのでしょう。ねぇ？」
『…さすがですね、しのぶさん』
「…っ」
薄く笑みを浮かべるAに、二人は''人間だった頃''の姿を重ねる。
だが、そこにいるのは鬼に成り果てたAだけ。
「おいお前ら！何ボサッとしてんだ！！死ぬぞ！！」
宇髄が近くの民家の屋根の上から降り立ち、Aに向かって剣を振り下ろす。
だが、いとも容易く受け止められ直ぐに弾き返された。
「ッおいおい…鬼殺隊にいた頃はそんなに力あったか？」
「退けッ！俺がその頸叩き斬ってらァ！」
隙を挟まずに不死川が飛びかかる。
硬質な音が何度も響く中、Aは表情を変えないまま不死川の攻撃を迎え撃つ。
『不死川さんは相変わらず単調ですね。そんなんですと直ぐに戦況を変えられてしまいますよ』
「うるせェ！テメェは黙って頸を斬られときゃァいいんだよォ！！」
「ッ不死川さん！援護します！」
「不死川、脳筋なりにソイツの動きを止めておけ…ッ！」
「うっせェ！分かってんだよンな事はよォ！！」
二人が戦う中、Aの背後に回り込んでいた甘露寺と伊黒が声を上げる。
「よもや！俺も参戦するとしよう！」
「…今、僕達が終わらせてあげるからね」
「鬼と言えど仲間を手に掛ける日が来るとは…なんとも悲しき事か…」
「おい胡蝶！冨岡！お前らも隙を見て呼吸を使え！一気に攻めて一瞬で終わらせるぞ！！」
宇髄の呼びかけに、二人は視線を一瞬だけ合わせて直ぐ様立ち上がる。
『全員一気に掛かられては部が悪いですね…』
溜息を零し、Aは目を見開いた。
『桜ノ呼吸、壱ノ型…''桜花絢爛''』
残酷な程美しい、桜の花弁が舞い散る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 589人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...ﾁｬｷｯ← (2021年5月9日 2時) (
レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……！！面白い！すごい！！！ (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね！ あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね！ (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます！素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…！続編もよろしくお願いいたします！！ (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です！！！こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´；ω；｀)更新お疲れ様です！続編も読みます！これからも頑張ってくださいね！ (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
