過剰摂取 ページ44
〜時系列は遊郭編が終わった辺りから。全体的に暗いです〜
十二鬼月の上弦を何とか倒し、私はその場に崩れ落ちた。
息が切れて、うまく呼吸が出来ない。
毒が全身を巡る気持ちの悪い感覚。
『ぉ''、え''…ッ』
喉の奥から迫り上がるものに耐え切れず、地面に思い切り嘔吐する。
口から大量に出てきたのは、吐瀉物では無く赤黒い血だった。
『そ、んな…ッ』
毒がこれ程までに強力だったなんて。
気持ち悪さが限界を迎え、再びその場に吐いてしまう。
出てくるのは大量の血液ばかり。
このままだと失血死してしまう。
既に鬼との戦いで消耗しきっている体は異様な程に重たく感じた。
潰れた右足を引きずりながら、皆の声がする方向へと向かう。
左足はこれ以上ないくらいに震えていて、もう暫くすれば完全に歩く事も出来なくなるだろう。
そうなる前に。
『ぁ''…ぁ…ちから、が…はいらな…ぃ』
ガクン、と視界が揺れて地面が一気に近づく。
その衝撃で再び咳き込み、またもや血が溢れ出す。
【…皆を頼むぞ、A】
『…煉獄、さん…ごめんなさ…ぃ』
ごめんなさい。
約束、守れそうにないです。
涙で視界が歪み、地面に小さな水たまりを作って行く。
「Aさん!しっかりしてください!!」
「オイA!起きろ!!」
あぁ、直ぐ近くで足音と話し声がする。
宇髄さん、貴方は重症なんですから動かない方がいいですよ。お嫁さん達に怒られちゃいますよ?
そう言いたかったのに、毒と失血の所為で舌が回らない。
なのに聴覚だけが異様に鋭くなって。
周りの音が聞こえる。
善逸さんも、こんな感じだったのかな。
…駄目だ、耳もよく聞こえなくなってきた。
煉獄さん、私に「皆を頼む」って言ってくれたのに。
【______よく頑張ったな】
懐かしい、声がする。
見慣れた隊服と羽織。
「…きろ!まだ………じゃねぇ!」
「音が…小さくなって……!」
「勝手に……な!なんで目を………だよ!」
「起きてくだ……!まだ助かる……!」
ごめんなさい。
もう、眠くて起きれられないや。
そこまで考えた途端に、意識が一気に遠のいて行く。
自分の心臓もこれで役目を終える。
心臓だけでなく、この体も。
煉獄さんに言われた約束。
皆に託そう。
私が果たせない事はきっと皆が果たしてくれるはず。
煉獄さんも、きっと文句は言わないだろう。
なら
『ぁ、と…は…ょろし、く…ね』
私の意識はそこで途切れた。
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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