胃薬が十二錠 ページ16
後日、Aはすっかり元に戻っていた。
「…本当に覚えてないのか?」
『はい…何も』
だが、童磨に攫われた事や自分が何をしていたかなどの記憶は綺麗に消えていた。
「随分と都合がいいですね。やはり敵の血鬼術でしょうか?」
『…?』
「そういや一つ気になる事があるんだけども」
宇髄が机に頬杖を付いてAを指差した。
「コイツ、あの鬼に押し倒されてたんだよ。俺らが行った時には既に倒れてた。一体全体派手に何をされたってんだよ」
宇髄の言葉で、その場にいた全員の動きが固まった。
勿論、当事者であるAも含めて。
『え?いやどういう事ですか宇髄さん?!』
「そんなの俺が聞きたいわ!」
「不注意故に鬼に汚されただと?子供だったとは言え抵抗はしなかったのか?…あぁもう駄目だ死のう死ぬしかない」
「いやぁぁああAちゃんが鬼に汚されたなんて嘘よ!嘘に決まってるわ!」
『お、おち…落ち着いてください蜜璃さん!私だって何が何だか…?!』
「…………介錯を願えるか」
「僕も」
『お二人とも腹は斬らないでください!早まらないで!''いのちだいじに''ですよ!』
「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」
「まずは陽性が出るかどうかを確かめねばなりませんね」
「お、おお俺は信じねェぞ!鬼如きに…Aが…ヴッ」
「…ぁぁ…」
義勇は天を仰ぎ、不死川は心臓を抑え、悲鳴嶼は数珠をさすりながら涙を流す。
甘露寺と伊黒はその場に正座をし、煉獄と無一郎は自身の日輪刀をAに差し出し介錯を請う。
しのぶと宇髄に関してはなにやら検査の準備を始めると、蝶屋敷の病室は大騒ぎ。
柱ともあろう九人が余す事なく心を乱し、乱痴気騒ぎを起こしている様である。
『とりあえず皆さん落ち着い…ゔっ、胃が…』
「煉獄さん早く胃薬を!大至急です!」
「う、うむ!これか?!」
「それです!早くAさんに薬を…って」
『すやぁ…』
次に視線を移した時には、Aは気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた。
「…おい検査する前に寝ちまったぞ本当に子供が出来てたらどうするんだよおい」
「きっと大丈夫なはず…です。流石に子供に手を出す程鬼も堕ちては…」
「…奴は目が正気ではなかったぞ」
「堕ちてなかったら誘拐なんてしてないよ…」
「……。」
「おい何で黙るんだよ胡蝶?!」
…結局何事も無く、何がとは言わないがAは無事だった
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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