胃薬が十一 ページ15
ふらついた足取りで必死に逃げ惑うA。
息は切れ、冷や汗を大量に浮かべて滅茶苦茶に走り回る。
『きゃ…?!』
床に落ちていたなにかに躓き、盛大に転ぶ。
膝に走る鋭い痛みに顔を歪めるも、直ぐに立ち上がろうと片膝をつく。
しかし、それと同時にAの身体が凍りついた様に動かなくなった。
背筋に嫌な寒気が走り、ぶわっ、と肌を粟立たせる。
「ほぉら…捕まえたぜ?Aちゃん」
『ぁッ…?!』
後ろを向くと同時に、Aは硬い床の上に倒された。
どん、と低い音が鳴り背中に鈍痛が走る。
腰が抜けて立てないAを他所に、童磨は脹脛付近に手を這わせた。
「あーあ、もう…悪い子だねAちゃんは。流石に脚全部は可哀想だから腱を切っちゃおうか」
鬼特有の長く鋭い爪で左脚の腱をなぞる。
『はなし…ッ?!』
「…やっぱり脚よりも先に喉を潰そうか?」
白い喉元に爪を突きつけ、不気味な程の優しい笑顔を浮かべた。
「まぁどちらにせよ君は虫の息になる。そうしたら、あの方の血で君も鬼にして貰おうね」
別に、俺が鬼にしてもいいんだけどね?と童磨は言い、けらけらと笑う。
「それとも…お腹を引き裂いて____」
童磨がAの腹部に爪を立てた瞬間だった。
異様な気配と殺気を肌で感じ取り、その場から飛び退く。
「あぁ…随分と早いお迎えだなぁ。残念残念」
「…俺はお前の頸を斬り損ねた事が残念で仕方がない」
「随分と派手な事をしてくれたなぁ…?俺も混ぜろよ」
「よもや、まだ無事で何よりだ!だが…汚い手でAに触れた事を後悔して貰おう!」
義勇、煉獄、宇髄。
柱の中でも戦闘要員の三人が揃い、童磨は苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
「柱が三人…部が悪いなぁ。ここは一旦退こうかな」
「逃すかこの野郎ッ!!」
「おっとっと。…あぁ、口惜しいなぁ。こんなにも近くに居てもう少しで手に入りそうだったのに。残念、残念…」
ぶつぶつと何かを呟く様子に、義勇達は訝しむ様な顔をする。
だが
「まぁ今回は…うん、仕方ないかな。でも、俺達だって本気でAちゃんが欲しいんだぜ?鬼殺隊の人間だけで独占しようだなんて、ちょっと…いやかなり気に入らないなぁ」
そう言い、近くに倒れているAに顔を近づけた。
「おい!!Aから離れろ!!」
「またね。今度は加減しないよ」
耳元でそう囁いて、童磨は姿を消した。
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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