□と○ (ページ26)

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『もう12時やん』

「え、私まだお風呂入ってない」

『ちなみに俺もや』

「長々と話してしまった．すぐ切るはずだったのに．」

『、、ありがとうな．少し軽くなった気するわ』

「それは良かった．無理しちゃダメだよ．」

だって、うちらなんとか同盟でしょ？支え合い大事！って．同盟名すら覚えてないやん、どうせ興味なくてあんまり聞いてなかったんやろうななんて想像しては少し笑みがこぼれる．

「A〜！スイカ持ってきた！夜遅いけど食べよ！」

せっかく心が軽くなったのに、電話の向こうから今は聞きたくない紫耀の声が聞こえた．

「ちょ、紫耀！ノックくらいしてってば」

「ごめん！電話してると思ってなくて」

「もう！」

「こんな時間に誰と電話してんの？」

「誰だっていいでしょ」

「え、隠すの？やましい電話？」

「もううるさい！出てけ！」

「口悪！笑」

「ごめん、廉くん．紫耀うるさいから切るね．バイバイ明日！」

「え！廉？！」

最後は紫耀のとびきり驚いた声で俺の名前が呼ばれたのと同時に一方的に電話が切られた．完全に2人の幼馴染ワールドに圧倒されたけど、画面に向かってAに感謝をして俺は自分のベッドに身を任せた．

次の日、今日は前期最終日．明日から夏休み．
だからか、休みの間俺が昨日のことを気にしないようにか、朝から胡桃は昨日のことなんかなかったかのように普通に接してくれた．みんなにも謝らなあかんわと思いつつ、自分の席に着く．その後すぐに隣に人が来た．

『おはよう』

「おはよう〜」

『眠そうやな』

「電話の後が長かったんだよ、紫耀が寝かせてくれなかった」

『なんかごめんな？』

「なんで．その言葉は廉くんではなく紫耀から欲しいんだけど」

Aは珍しく眠そうに欠伸をした．

『昨日はありがとう』

「なんもしてないよ」

『なんもせんかったのがよかったんよ』

「ふふ、前にどっかで聞いたな」

『そう？笑』

「うん笑」

『俺、花火大会行くわ』

「え、無理しなくていいんだよ？」

『俺行かんかったらAが1人やん．支え合いが大事なんやろ？』

俺の言葉を聞いたAがなんて言って笑ってる．そんな俺らを紫耀が、胡桃がどういう思いで見ていたかなんてその時の俺らはまだ知らなかった．

こうしてダラダラと前期最終日が終了し、夏休みが始まる______．

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