□と○ (ページ17)

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6限目．体育の時間．
季節も春は遠い昔だと告げるように照りつける夏の日差し．体育は外でも中でも地獄と化してる．今日は男子は外でサッカー、女子は体育館でバレーらしい．

試合終了後、予想通り滝のような汗が体中を流れている．汗が気持ち悪すぎて俺は直ぐに水道に向かえば、水道に向かう道中に校舎から体育館へ繋がる廊下のところにしゃがみこんでいる1人の生徒．

『サボり？』

「休憩」

『体育館どう？暑い？』

「体育館も想像以上の暑さだよ、最早サウナ」

Aを見ればいつもは下ろしてる髪の毛も体育の時はポニーテールをしてAが動くたびに揺れてる．ほんのり頬が赤く、汗で首元が少し艶っぽくていつもより色っぽく見える．変態みたいやけど、俺も健全な男子やらかしゃーなし．そんなAに対して妙に心臓は落ち着かないが、平常心を装った．

『外はもう溶けそうやで』

「溶けてなくなったら楽なのにね」

『怖いこと言うの止めろや』

「ふふ、さすがに冗談」

『冗談でも怖いわ』
『てかなんで1人なん？胡桃は？』

「胡桃ちゃんはいま試合中」

『そうなんや．胡桃、バレー下手やろ』

「あの精一杯さが可愛いよ」

『Aはどうなん？バレーできるん？』

「あの身体能力馬鹿の幼馴染舐めないほうがいいよ？」

『それはどっちの意味やねん笑』

「想像に任せる」

この気の抜けた感じがまた疲れた体には丁度よくて．

「あ、試合見てたよ．廉くんサッカー上手だね．周りの子達がかっこいいって言ってた．」

『やろ？俺ってかっこええんよ』

「少しは謙遜しなよ」

『ほんまのことやもん』

「まあ、そうだけど．私は紫耀派」

『紫耀もかっこええで？でもずっと一緒やろ？見飽きひんの？』

「好きな人のかっこいいところはいくら見ても飽きないよ」

そういって彼女はグラウンドの紫耀を愛おしそうに見つめた．つられて俺も紫耀に目線を向ければ、それに気づいたのか偶然なのか紫耀がこっちに気づき、満面な笑みでこちらに走って来た．

「2人してなにしてんの？サボり？笑」

『「休憩」』

「息ぴったりじゃん．2人っていつの間にそんな仲良くなったの？笑」

「別に普通だよ、今のが偶然」

『そうそう』

「ふーん？」

紫耀は少しだけ疑うような目で俺らを交互に見て何か言いかけた瞬間に体育館から試合終了の笛が聞こえた．

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