やっぱり好き、やねん。 (ページ8)

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L.dume ① ページ8

「酔い痴れたいその優しさ。」本編よりお読みいただけるとよりわかりやすいと思います🙇🏻

＞＞L.dume

眼鏡をかけた真面目そうな男の子だった。

「あ、その…い、イヤホン落としました、？」

思わず変な人に見られてしまってないか不安になり急いで立ち上がってイヤホンを見せる。

『あ、………ポケットに無いんで多分僕のです、有難う御座います。』

ポケットに手を突っ込んで探った後、イヤホンを受け取るとにこっと穏やかな笑顔を見せてお礼を言ってくださった。
よかった、めちゃくちゃ良い人そう……。

『僕、堂前っていいます。2年なんやけど見たことないから…先輩ですかね？それとも後輩かな？』

落ち着いた声でほんわかとした雰囲気を持ち合わせる彼は、堂前さんと言うらしい。

「私はAといいます、1年です！なので堂前さんの後輩、ですね。」

そっか〜〜とこれまた緩く返事してくれた堂前さんはその後も入ってる部活は？とか、中学どこ？とか、そんな他愛もないことだけど色々お話してくださった。

めちゃくちゃ盛り上がる、みたいなことは無かったけれど初対面の人が苦手で人見知りな私もすごく落ち着いてお話できた。

彼の声、話し方、雰囲気、そしてその空間までもの心地良さに酔い痴れていた私は、ふと気づく。

「体調大丈夫ですか、？お話してくださるのは嬉しいんですけどしんどかったら休んでくださいね、？」

私は頭痛も腹痛もだいぶ治ったが堂前さんもどこか不調があってここに来ているはずだ。

『あーー、……実は俺授業サボってるんよね、笑』
「え、？」
『古典あんま好きちゃうくて笑』

意外やった。お話もすごく上手やしてっきり真面目な人かなって思ってた。

『……ふふ、意外、って顔してる笑』
「あ、すみません…、」
『別にええよ。気にせんといて笑
それより、Aさんは？どっか具合悪いんちゃうん？』

「今はだいぶ治りました。堂前さんと楽しくお話できたからですかね、笑」

真面目じゃないなら少しの冗談ぐらい受け止めてくれるだろうか。