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二宮に大きく手を振るとすぐに気づいて、こちらに歩いてきた。


「待たせたな。帰るぞ」
「うん。じゃあね、辰也くん。村上くんもばいばい」


小さく手を振って席を立つと2人とも振り返してくれた。
すぐに二宮が歩き出したので慌てて後を追う。私を待たずに歩き出すなんて珍しい。別に待ってほしいわけではないけど、いつもは待ってくれるから驚いた。何かあったのだろうか。
今日の二宮は不機嫌な気がする。表情が硬いというか……まあ無表情なのはいつもなんだけども、オーラが硬い。


「……怒ってる?」
「そういうわけではない」
「じゃあどうしたの」
「……」
「に、二宮?」
「……なんだその服は」


言って見下ろす二宮の目は明らかに怒っていて言葉がグサリと刺さり、私の足が止まった。
今日の私の服装はノースリーブのワンピースだ。久しぶりに二宮と帰れるので少しお洒落をしたつもりだったのだが彼は気に入らなかったらしい。ミディ丈だから一応膝は隠れているのだが二宮にとってはアウトなのか。
でも、その言い方はないんじゃないか。これでも少しでも良く見せたくて色々悩んだのに。もやもやしたものが胸の内に広がる。


「……久しぶりに会うから いい服着ようかなって思って」
「露出が多すぎる」
「ごめん……。でも二宮にそこまで言われる筋合いはなくない? どんな服を着ようが二宮には関係ないでしょ」


言ってしまった。いくら他人とは言え、付き合っている相手が露出が高い服を着ていたら、一緒に歩くのは嫌な人もいる。二宮もそうだから言ったのだろうに。目を合わせるのが気まずくて俯く。


「関係ある」
「っ、そうだよね。……露出が高い服を着てたら だらしない人間だと思われるし嫌だよね」
「そうじゃない。他の男がジロジロお前を見るだろう」


言うや否や二宮は自分のジャケットを脱いで私の肩にかけた。ふわりと二宮の匂いが鼻をかすめ、肩に温もりが加わる。
え……? わたしの心配? 意図が分からなくて見上げると「……男避けだ」と眉を寄せた二宮に言われた。


「それと……Aは来馬のことが好きなのか?」
「は、……?」


今日の二宮は変だ。自分のジャケットを私に着せたり、こんなことを言うなんて。
というか何を思って私が辰也くんが好き、という結論に至ったのか。

∞→←こたえあわせ ─ 二宮



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ピンス - ワートリ短編集大好きです。更新待ってます‼︎ (11月12日 18時) (レス) @page11 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ!! (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
穂波(プロフ) - くまパンダ隊長さん» そう言って頂けてとても光栄です😭✨二宮隊いいですよね〜!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (2022年4月6日 23時) (レス) id: e2d854feaf (このIDを非表示/違反報告)
くまパンダ隊長 - 犬飼先輩と辻ちゃんカッコいい!二宮隊推しなのでめっちゃサイコーです! (2022年4月6日 11時) (レス) @page5 id: cad4247964 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:穂波 | 作成日時:2022年4月1日 15時

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