白と夜風 ページ47
今日は私の初任務達成記念と今までお流れになっていた歓迎会を兼ねた飲み会が開かれていた。
ものの数時間で地獄絵図と化したそこをいそいそと離れ、お酒で火照った身体を冷やそうと、テラスへ出て涼んでいる時だった。
｢任務お疲れ様｣
ひとらんさんから声を掛けられる。
飲み食いしている最中だったからか、いつものマスクは着けていない。普段はなかなか見られない彼の素顔を酒で頭が回らないが故、ぽけーっと見つめる。
｢ありがとうございます。皆さんのおかげです｣
｢そんな事ない。Aの実力だよ｣
その言葉に首を横に振る。
本当に私はただ皆さんの脚手纏いになっていただけ。
｢自分をそんなに卑下しないで｣
優しい声音で彼はそう言うと、頭をポンポンと撫でて私を肯定する。
そんな事ないんだと否定しようとして彼の方を見た時、その思ったよりも近い距離と吸い込まれそうな黒い瞳に思わず目線を逸らした。
だんだん意識がはっきりしてきて、彼と私の関係を思い出す。
そうだった。彼は昔の私を知っていて、きっとその記憶を取り戻して欲しいと思っているはず。
現に私が彼の名を呼ぶ時、少し切なそうな表情をする事があるのを私は知っている。きっと幼い時の呼び名は違ったのだろう。その名を知る由もない今の私はどうする事もできないでいた。
｢もしかして、俺と話すのまだ緊張する？｣
｢あっいえ、そんな事……無いです｣
嘘。本当は少し緊張する。彼の思いを想像すればどんな顔をすれば良いのか分からなくなっていた。
そんな私の様子を見て彼はふふっと笑った。
嗚呼、きっと私より私の事を知る彼には全部お見通しなんだろうな……。
｢俺ね、本当に嬉しいんだ。またAとこうやって話せることが｣
この辺りでは珍しい漆黒の瞳は私を捉えて離さない。
｢またこうやって、触れられることが｣
するりと長い指でアルコールで紅潮しているであろう頬を撫でられる。その擽ったさの中にある心地良さに思わず目を細める。
｢例え、Aが俺を忘れていたとしても、そんな事、気にならないくらいにね｣
そして、本当に幸せそうに笑った。
私の手を取り、そっと包み込む。
｢今度は絶対に護るから。だから、離れないでね｣
あんな思いは一回で充分だよと眉を下げて儚く笑った。
｢…はい｣
何だか恥ずかしくなって、また目を逸らす。
心地良い夜風が二人の髪を揺らしていた。
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夜哉(プロフ) - mio@厨二病さん» レスが遅くなりました汗 閲覧ありがとうございます！イラスト大歓迎です！今後とも花喰いを宜しくお願い致します！！ (2018年8月25日 23時) (
レス) id: 8be93f7929 (このIDを非表示/違反報告)
mio@厨二病(プロフ) - はじめまして。この小説がとても面白いので好きです！本題なのですが、イラストを描かせて頂きました、下手ですけど…許可が降り次第ボードのほうにURL貼りにいくので、見てくださると嬉しいです！ (2018年8月24日 22時) (レス) id: 29850b4b9c (このIDを非表示/違反報告)
夜哉(プロフ) - 大豆もやしさん» お待たせ致しました！ (2018年8月4日 0時) (レス) id: 8be93f7929 (このIDを非表示/違反報告)
大豆もやし(プロフ) - こんばんは！！続編お待ちしてました(*´ー｀*) (2018年8月2日 23時) (レス) id: 2527d3c346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜哉 | 作成日時：2018年8月2日 23時
