52話:第6幕 ページ3
ut side
｢Aちゃん！大先生！何があったん！？｣
慌ただしくマンちゃんが路地に飛び込んできた。
焦った様子ではあったが、状況を見て察したのだろう。
いつもと同じ、すべてを隠した笑顔で二人の男に歩み寄った。
｢うちのがえらくお世話になったみたいやな｣
｢がっ外交官…｣
コツンと軍靴を鳴らしてまた男達に近付く。
｢そうそう、よう知っとるやん〜。ついでに教えたるわ。アンタが撃った男は諜報隊の長や。そんでもって女の子の方は総統のお気に入り｣
黙り込む男達の前にしゃがみ、目線を合わせた。
｢この意味、分かるな？｣
目の笑っていないその笑顔は恐怖でしかないだろう。
男達が逃げられる術はもうどこにもなかった。
後処理はマンちゃんに任せよう。
Aちゃんは疲弊しきっているし、自分も無駄な傷を作ってしまった。
まぁ、この傷はAちゃんに少しでも近付く為にわざと当たって出来たものだなんて口が裂けても言えやしないが。
思惑通り、Aちゃんは自分のリボンタイで止血を施し、今も尚、申し訳なさそうに右腕の傷を見ている。
きっと自分の状況を理解する暇なんてないぐらいに必死だったのだろう。
大きく開いた胸元はそのままだった。
｢これ着とき、僕ので悪いけど無いよりはマシや｣
女の身体なんてごまんと見てきたが、彼女程白い肌は見たことが無い。
陶器のような滑らかな肌にゴクリと生唾を飲み込んだ。
こんなの、他の野郎には目に毒やろ？
だから、“見てしまった”のは僕だけでいい。
止血する際に脱いだスーツの上着を彼女に掛けてやる。
｢っ！す、すいません…お見苦しいものを…｣
自分の姿にやっと気付いたのだろう。小さくなっていた体をさらに縮こませる。
最後は消えかかった彼女の言葉に首を振った。
｢僕らの方こそごめんな、痛かったやろ｣
腫れ上がった彼女の頬をそっと撫でると、分かりやすく彼女はぴくりと肩を跳ね上げた。
｢早く帰って冷やそな…｣
そのまま手を移動させ頭を撫でればポロリと一粒の涙を零した。
｢っ怖かった…です｣
その言葉に一体どれ程の意味があったかは分からない。
ただ単に男共が怖かったのかもしれない。
もしかしたら僕がどうにかなってしまうんじゃないかという意味だったかもしれない。
それとも、またただの人殺しに戻ってしまうのを恐れた…？
その正解を知り得ない自分が出来る事といえば、彼女が落ち着くまで側にいてやる事ぐらいだった。
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夜哉(プロフ) - mio@厨二病さん» レスが遅くなりました汗 閲覧ありがとうございます！イラスト大歓迎です！今後とも花喰いを宜しくお願い致します！！ (2018年8月25日 23時) (
レス) id: 8be93f7929 (このIDを非表示/違反報告)
mio@厨二病(プロフ) - はじめまして。この小説がとても面白いので好きです！本題なのですが、イラストを描かせて頂きました、下手ですけど…許可が降り次第ボードのほうにURL貼りにいくので、見てくださると嬉しいです！ (2018年8月24日 22時) (レス) id: 29850b4b9c (このIDを非表示/違反報告)
夜哉(プロフ) - 大豆もやしさん» お待たせ致しました！ (2018年8月4日 0時) (レス) id: 8be93f7929 (このIDを非表示/違反報告)
大豆もやし(プロフ) - こんばんは！！続編お待ちしてました(*´ー｀*) (2018年8月2日 23時) (レス) id: 2527d3c346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜哉 | 作成日時：2018年8月2日 23時
