・(dk side) ページ12
ー dk side ー
昔からAは僕の心を読むのが上手いから
僕の全てを見透かされているんじゃないかって
そんな気分になる。
たまーにオレンジジュースを飲みたくなる時があるけど、
その欲求は本当に気まぐれにやって来るから自分でも分からない
それなのにAは
「ソクミナ、いる？ なんか今日私オレンジジュースの気分だったんだよね」
なんて言って少し高めに結ばれた髪の毛先を揺らしながら
僕にペットボトルのオレンジジュースを手渡す。
2人で学校の中庭で飲むオレンジジュースは
どんなオレンジジュースよりも美味しいと思った。
あの頃は制服だった僕達も、
気付けばもういわゆるアラサーと呼ばれる歳になっていて
オレンジジュースに限らず
僕の ”何か足りない” を埋めてくれるのはAだった
その行為には言葉なんて要らなくて、
いつもAは僕の心にすっと入り込んで
欲しい言葉をかけてくれる。
その優しさには今も本当に救われている
さっき、電話で伝えてくれたこと
僕は良くカムバックの準備期間に入ると
レコーディングのことで悩むことが多くて
納得のいくように出来ない自分に対するイライラと焦り
メインボーカルとしての責任に押し潰されそうになる
Aは歌の技術に関することではなくて
僕の歌に対する姿勢を好きだと言ってくれた。
…でも、やっぱり声だけだと会いたくなっちゃうな
･
コンビニに寄ってから向かうのはAの家
「…え、！？ちょっと、」
dk「ごめん、会いたくて来ちゃった」
「…ふふ、私も会いたいな〜って思ってた所だよ」
中に入れて貰えば、
前に来た時とは何か部屋の雰囲気が違うような気がする
…あ、
dk「カーテン変えたの？前は薄ピンクみたいな色だったよね」
「そう、もう夏だから気分転換に爽やか系の色にしてみたの」
” どう？”
カーテンの前で手をじゃーんと広げて無邪気なAの中には
共に過ごした高校時代の君がちゃんといて、懐かしくなる
「…あ、そうだソクミナ」
dk「ん？なーに？」
「これ、あげる」
そう言われて手渡されたのは見覚えのあるそれ。
いや、正確に言えばさっきも見たそれ。
「ん？もしかして今は気分じゃない？」
dk「…ふは、じゃあこれ交換しよ」
僕達の右手にはお揃いのオレンジジュースが握られていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗良(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます（т-т）このくぷすパートは絶対こういう系で書くって決めてました！😹 最高なお話だなんて、、もうそうやって言って頂けるだけでとても嬉しいです😭これからも良ければ読んでくださると嬉しいです🥺💖 (8月19日 18時) (
レス) id: 24b5647c5f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - くぷす編切なすぎて泣いてます😭毎回最高なお話しありがとうございます🩵🙏🏻 (8月19日 14時) (レス) @page32 id: b42a38ca21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗良 | 作成日時：2023年8月3日 14時
